また少し肌寒くなりましたが、桜が開き始める疎水沿い。
岡崎にある京都国立近代美術館にて
開館50周年記念特別展開催中。
『交差する表現工芸/デザイン/総合芸術』(〜5月6日まで)
今年の4月27日に近美は、開館50年を迎えるそうです。記念展では
工芸のコレクションを中心に、京都の地場産業を牽引してきたデザイン
系の展覧会開催50年をふり返る、陶芸/染織/漆芸/ガラスなど多様な
領域を越えた表現を紹介する展示になっています。
レセプションパーティーでは、多くの世代を越えた参加者が集いました。
会館当時から関わってこられた方もおられるでしょう。
作品展示を懐かしそうに、ご覧になっている様子からも伺えます。
見どころとしては
「美術館そばの平安神宮は1895年、第4回内国博覧会の中心パビリオン。
この博覧会の出品作2代川島甚兵衛「悲母観音図綴織額」が今回初めて
狩野芳崖の原画とともに並び、竹内栖鳳「ベニスの月」を原画とする
友禅の軸は大英博物館から始めて里帰りする。
2009年同館で初公開された伊東忠太の平安神宮設計図面をはじめ、
国立館初の竹久夢二コレクションから千代紙など生活に浸透する
デザイン、純粋造形へ挑んだ八木和夫や鈴木治の陶作品を紹介する。
戦前から戦後にかけて活躍した建築家上野伊三郎が京都市内に設計
した飲食店「スターバー」を、妻リチがデザインした壁紙など内装も
含めて原寸大に再現するのもみどころだ。」(京都新聞より)
「頑張ったり、頑張らなかったりする」壁面作品
上野伊三郎の代表作といわれている「スターバー」の再現。
1930年竣工。当時日本で「もっとも有名な若い建築家」の
作品として、ニューヨーク近代美術館の建築展で評価された
そうです。
なくなってしまったのが、惜しいですね。
こんなバーで、カクテルなど戴いたら愉しいお酒になるでしょうに。
会場に貼られたこれまでの展覧会ポスター、全てではありません。
たぶん学芸員さんの作品として、色・デザイン・年代など取捨選択
されたものでしょう。
私もずいぶん拝見しました。記憶に残る懐かしい展覧会も数多。
Mさんのお陰様です。いつも有り難うございます。
展示作品には、走泥社八木和夫「ザムザ氏の散歩」河井寛次郎、
バーナード・リーチなど民藝運動の代表作品などもあり、久し
ぶりに改めて鑑賞すると、エポックメーキングなのだと思います。
特に手仕事(工芸)が、京都という土地において、地場産業として
活性化してきた時代、様々なジャンルの作家がデザイナーであり、
作り手であり、お互いの持ち味を引き出し合って“良い商品”を
生みだしてきたんだと思いました。今でいうコラボ商品ですが、
特別な階級の人達の者だけでなく、大衆に愛される文化・美術
というものの波及に貢献してきたと思います。
京都国立近代美術館が、担っている役割の大きさを感じました。
ところ変わって・・ですが
美術館「えき」KYOTOにて『知られざるミュシャ』展
ー故国モラヴィアと栄光のパリー
3月31日まで開催中です。このアルフォンス・ミュシャ展は、
日本初公開のチェコの個人コレクター「医学者ズデニェク・
チマル博士」のコレクションによるものです。
日本人で人気のあるミュシャの展覧会は、(今回も平日にも
かかわらず大勢の観覧者でした。年齢層は若かった!)
これまで何度も開催されてきましたが、チマルコレクションは、
ミュシャファンが長年コツコツと、新聞の記事からお菓子の
パッケージから、代表作のリトグラフ劇場ポスターまで・・
幅広く楽しい出品作でした。
宣伝のための広告ポスターがアートに評価され始めた時代。
ミュシャの作品も1900年パリ万国博覧会パビリオンの装飾
を手掛けたのを契機に「ミュシャ様式」という名がつけられた
ようにアール・ヌーヴォーの旗手としての地位を不動のものに
しました。
紙幣・切手・舞台芸術デザイン・商業デザインなど、あらゆる
ジャンルにわたりコラボレーションで名を馳せたミュシャ。
日本の伝統的工芸文化の影響を与えたアール・ヌーヴォー。
近美の展覧会との関連性を、独り感じて愉しんだのは私だけ?
若い層の方には、現実性と物語性がミックスされた作風
(キャラクター的画風)が受けてるのだろうか??
どちらも良い展覧会です。どうぞご覧ください。
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