例年通り、大谷さんへのお墓参りと、観光客の車で大渋滞の大和大路。
京都のお盆のお精霊(おしょらい)さんの行事とは、先日の迎鐘に
始まり、お供え物を作り、家族と共に食べ、16日の送り火で
お浄土へ帰られるまでの数日を過ごすことです。
いわば、冥界の方々を「お・も・て・な・し」です。
(京都の行政では、すっかり定着したフレーズです。)
でも京都も時代の流れとともに、家で手間暇かけてお盆のお供えを
作るところ、かなり少なくなったと思います。
昔は、盆と正月というと商店街やスーパーでは買い出し、
ごった返しの勢いがありました。
食にも「ハレとケ」があり、
その日その日に、食の決まり事があります。
特に京都は、昔からの習慣として意味がわからずとも
親から子へ続いてきました。
「八のつく日は、アラメと揚げの炊いたんを食べる日。」とか。
これは<末広がりの八の日に、新たな良い芽が出るように>
だそうです。(ちょっと無理やりな弦担ぎな気も……)
一月の間に、何日かだけでも決まった献立があることを
喜びとするのは、結局家事を切り盛りする奥様方ですから、
ココはまじないのように弦を担いでおくべきでしょう。
ご近所に「おばんざいのプロフェッショナル」がいはります。
夕方からだいどこにて、無駄無く、スキ無く、手抜き無く
同時進行にて、毎日5・6種のおばんざいを作らはるのです。
ご夫婦共に呑むのもお好きなので、最高のアテでしょう。
たまにお福分け膳を戴くことがあります。


食材にもうつわにもこだわってはるので、
「ウチ(家)食が一番でしょう?」
「いーや、旦那はえぇけど、毎日毎日考えんのも、めんどくさい!」
やっぱり決まった献立の日も必要で、向学のための外食も必要だそうです。
京都のお盆に戻ります。
お精霊さんのお膳は、あくまでも「お精進」
精進料理です。ウチはお出汁も昆布と椎茸でした。
13日は、朝から玄関先で迎え火を焚き(おガラを積んで燃す)、
お迎え団子を作りお供えします。
家で白玉粉の団子を丸めたり、和菓子屋さんで、
お団子やおけそくさん(御租供)餅を買う家も
ありますでしょう。
長旅で帰って来はって、お腹の空いたご先祖さん。
虫養い(ムシヤシナイ)となるものをお供えします。
そして、夕餉に小豆の炊いたんとか、ささげおひたしと、
ご飯と奈良漬けなどをお膳に用意して、お供えします。
「あんじょう、よぅお帰りやした。」
というお膳です。
先日の「施餓鬼法要」ですが、家での供養では
炊いたご飯におガラの箸(麻の皮を向いた茎を手折ってお箸にしたもの)
を添えて、餓鬼供養するところもあります。

こんな資料がありました。ようけの餓鬼に虫ヤシナイですね。
14日は、お昼におこわ、そうめん、
夕餉は、高野豆腐と椎茸と小芋の炊いたん、
茄子おひたしに豆腐のお汁、どぼ漬け……など。
ウチの家はおはぎが好きで、おこわの代わりにおはぎでした。
名物<ゲンコツおはぎ>でしたから、一個がゲンコツサイズ。
十分主食でした。
手伝いながらも、子供サイズをコソコソ作ってました。
一個が大きいと、粒・漉し・きな粉・青海苔…
食べとうても、食べられへんでしょう。

ここのおはぎも、たいがい大きい「下京区/仙太郎」
干瓢を結ぶ仕事も任されました。それは小芋や椎茸などの
あんかけ汁「のっぺい」の具になりました。
暑い時に熱いあんかけ、とろとろに生姜を載せて。
京都人は、葛引き、あんかけが好きです。
夏でもクーラーのよぅ効いた部屋で汗かいて「フーフー」

ちゃんと居酒屋メニューにもあります。芋茎あんかけ「東山区/櫻バー」
15日昼はおこわに西瓜、
夕餉は、芋茎(ずいき)なます、澄まし汁、インゲン豆胡麻和え、
奈良漬け
もともと酒粕の好きな京都人ですが、お盆に欠かせないのが
「奈良漬け」
日持ちもするし、瓜や西瓜、胡瓜、茄子、茗荷などいろいろ味の
バリエーションもあることで、良く食卓に登場します。
寛政元年から、約200年続く老舗の奈良漬屋さんです。
桂瓜という京野菜の品種の独特の食感、美味しいです。
ほかと比べてみれば、やや甘いめ、味醂勝ちの粕床だと思います。
16日は、いよいよお帰りの日です。
見送り団子を作ります。
最後のお昼は、白蒸しにアラメとお揚げの炊いたん、沢庵
このアラメは「追い出しアラメ」といいます。
気ぃよう居てもろたお精霊さんも、あんまり長居されたら困りますので、
アラメを湯がいた真っ黒の汁を玄関先に流して、さいなら…と。
(コッソリ引き際を示すあたり、さすがの京都人です。)
夕方より、玄関先にてまたおガラを燃して自宅での送り火とします。
お精霊さんが、迷わんようお浄土に戻らはるように。
16日京都の夜は、言わずと知れた大文字の送り火。
また、来年……

↑クリックして頂くとブログランキングにカウントされます。応援して頂けると嬉しいです。