2025年 05月 12日
兵庫県立美術館『パウル・クレー展』〜新開地 |
関西万博に合わせ、関西一円にて興味深い特別展が多数開催されていて、何処から観ようかと悩ましいことです。一日でハシゴができる組み合わせは??会期と睨めっこ。



阪神淡路大震災のあと、復興のシンボルとして安藤忠雄氏が設計した兵庫県立美術館も年季が入ってきました。さすが!と感心したのは、入場料がシニア料金(70歳以上)半額、学生料金(高校生以下)無料なのです。特別展であっても、他府県からの入館者でも(要証明証)です。何処かの「(自称)文化芸術の都」とはえらい違いです。美的感性は一日にして成らずですよ。

兵庫県立美術館で開催中の『パウル・クレー展』(5月25日まで)を観ました。1879年スイスのベルン出身のクレーは、1940年に亡くなるまで戦争に翻弄された運命でした。ヒトラーに「退廃芸術」と迫害を受けた時代もありましたが、1920年ドイツのバウハウスで教鞭をとった時代、周りの前衛時代の芸術家と共に自然界の美と、手仕事に対する探究が深まる一番愉しい表現の時代であったのではないかと、作品を通じて思いました。もう少し続けば良かったですね。寿命も惜しい。
クレーの作品だけではなく、同時代を生きた芸術家の作品〜ピカソ、カンディンスキー、ブラック、イッテン、ピカビア…互いに影響を受け合う作家の比較が観られる展覧会の構成で面白かったです。

展覧会副題となっているクレーが遺した言葉。
戦争を体験したことで多くの友人や芸術家を亡くし、自ら従軍を志願しながらも絵を描くことは辞めなかった。ドイツに戻ってからは「稚拙で思想に悪影響を与えるもの」と酷評された上に膨大な作品を没収されるが、精神病に苦しみながらも認められることを諦めず、販路をアメリカへ求めた晩年は、1年で1000点以上の作品を描きまくったそうです。
しかし、認められたい、売れたいと欲を出すと、何故か画力がなくなるのです。
バウハウス時代の新しい発見と輝きの絵とは違うのです。
イギリスの「アーツアンドクラフツ運動」に発する芸術総合学校がバウハウスで、マイスター(親方)とギルド(職人)制を取り入れたモダンデザインの理想像は、遠く日本の民藝論にも影響を与えました。とまれ、西洋で手工業と自然界の美に気づくもっと前から、日本人の美意識にはすでに持ち合わせていました。1900年以降続く芸術運動、アール・ヌーヴォー、アール・デコにて日本の芸術が評価された所以でもあります。
私がクレーに興味を持つのもそんな処かな?と思いつゝも愉しく観覧しました。


此の日は午後から雨模様でしたので、ブラあまたアーケードのある商店街巡り。
震災で大被害を受けた長田区、新開地方面に向かいました。
新開地周辺は、大正、昭和の関西の映画の町、演劇の町。其の前は江戸の吉原、京都の島原と並ぶ西の福原、遊楽街でした。震災後の今も雰囲気は残っています。細い路地が多く、夜のネオンの店がひしめき合って、急な坂の途中に傾いた映画館があったり。震災でもっと新しい建物ばかりになっていると思っていたので、ちょっと意外でした。
新開地には、「柳筋」「桜筋」などのかつて花街だった通り名が残っています。現在メイン通りになっている商店街には、毎日開催される寄席「喜楽館」があります。ちょうど開演前の時間で、お客さんがどんどん入って行く時でした。シニア組ばっかりでしたが。歓楽街が衰退していった原因は、鉄道網の発達と共して町の中心が三ノ宮、元町に移行したからでしょう。
「それでは皆さん、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ…」の名セリフで人気だった映画評論家、解説者の故 淀川長治氏は、新開地の隣の湊川区の置屋の息子で、家が株主だった映画館が遊び場だったそうです。隣接する部落地域で経験した想い出を語り、部落差別だと非難されたこともあった様ですが、映画という人類平等に愉しめる娯楽の素晴らしさを語り続け、生涯独身で映画三昧の人生を送りました。「日曜洋画劇場」懐かしいなぁー。
神戸電鉄「高速神戸駅」から「新開地駅」まで続く「メトロ神戸」は、日用品や飲食店が並ぶ普通の地下街です。ブラブラ歩いていたら。。。珍しい光景が!
お昼は、喜楽館向かいのビルの2階にある「グリル一平」の新開地本店へ。神戸で約70年続く老舗洋食店です。看板メニューの鉄板焼き「イタリアン」は、生卵とチーズと特製デミグラスソースをアツアツの鉄板で絡めて食べるのが美味しい。
Cセットはポタージュスープとライス付き。お皿にはポークチャップに白身魚、ホタテ貝柱、エビフライ、ハム、ポテトサラダと洋食王道盛りでした。ランチタイムは並ぶ人気と聞いてましたが、平日は地元のファンがほとんどで、回転良く回ってました。
特別すごいという洋食ではないけれど、何の素材も良いものが使われていて、「なつかし何時もの、アレ食べに行こか」というお店なのでしょう。
食べ終わって、湊川公園の方の商店街も巡りました。神戸も坂の街ですね、商店街の中にあり得ない心臓やぶりの崖道も。ショッピングセンターの2階が崖道とおんなじレベルという。。上がってすぐ見えるのは、露店のタバコ屋、昼から立ち飲み屋。笑笑。
商店街巡りは地域性、生活感があって面白いです。また何処かでブラブラしたいと思います。
by mottainai-amata
| 2025-05-12 17:56
| 観てみよう展覧会
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