2024年 11月 25日
京都紅葉〜『法然と極楽浄土展』『LOVEファッション展』 |
ゆっくりですが、先週から冷え込んできて、市内でも紅葉が進んでいます。
人の手による創造性も素晴らしいですが、自然の造形には敵いません。
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自転車で巡るにはちょうど良い気候。平日でもバスや道路が混んでいますので、自転車が一番便利で早い!何処でも行けます。碁盤の目は急な坂が少ないもので。
京都国立博物館『法然と極楽浄土』展(12月1日まで)を観ました。3週間のみ限定で展示される「綴織當麻曼荼羅」を目当てに後期の展示鑑賞を選びましたが、午前中でも会場はいっぱいでした。外国人はほとんどいませんが、ご年輩の方が多いですね。
もしかしたら、本山にて報恩講が始まったからかもしれません。
日本を代表する浄土教の名品が揃う贅沢な企画ですので、関係者の方は特に外せないでしょう。作品は書画がほとんどですが、ボリュームがあるので、全てに熱を入れて観てしまうと疲れるのでしょう。一階には座り込む観覧者が大勢いらっしゃいました。
江戸時代ともなると、人物や動物の表現がどうしても形式化してきて物足りない感じ。
やはり国宝「綴織當麻曼荼羅」の大きさには圧倒されます。図柄は、修復されたといっても肉眼で判別できるレベルではありませんので、後年原本を元に描かれてきた「當麻曼荼羅図」を観て想像するしかありません。京都を代表する染織会社の川島セルコンにて古代裂の修復、復元の部署で顧問を勤めてらっしゃるお客さまが、ちょうど弊店におみえになったので、綴れ織について貴重なお話しが伺えました。
綴織當麻曼荼羅においては、長い歴史の中で、板張りや裏打ちされたときの残像が失われたいるのと、生地の激しい劣化、中将姫伝説に伴う日本製説はおそらく技術的に無理で、中国で織られたものであろうこと。其れ等から完全なるコピーは不可能なのだそうです。
「織物は正確な下絵がなければできない」今は其の原画を描ける技術者も減っているので正確な模写ができる後継者を育てないといけないとのこと。今年、川島セルコン社による技術で、祇園祭の「橋弁慶山」の前懸けが約5年がかりで新調されました。其の苦労が本社HPで紹介されています。
川島セルコン社で通常織られる綴織の一寸(3.3cm)角のなかに通る縦糸は、約40本なのだそうですが、今回の橋弁慶山の前懸けは驚異の85本なのだそうです。ちなみに、博物館で展示されている綴織當麻曼荼羅が60本です。しかも奈良時代、約8世紀です。人の指先、爪織されたものと推測されます。途方もないすごい遺産ですね。
人々の篤い信仰心、極楽浄土に対する憧れなどがあらゆるカタチで表現されて、やはり浄土教の影響力の大きさを感じました。個人的には、様々な形式の阿弥陀来迎図がたくさん観られて良かったです。仏像は少なかったですが。
左京区も落葉樹の紅葉は木の種類によっては終盤。
本当に!あっという間の秋でした。
神楽岡通よりちょっと坂を上がった古民家「濱口商店」。古民芸や生活骨董を販売されています。其処の一階を間借りして営業される「はなのき」さん。おばんざいとおやつのお店。金曜日のみ営業の隠れ家みたいな癒しの空間です。
天然素材と調味料にこだわって丁寧に作られたおばんざいランチ、やさしいお味で美味しかったです。ご飯とお味噌汁が付いて1000円。おばんざいだけのテイクアウトもできます。大根葉のスパイス風味、干し筍の炒め煮、「噛む」という美味しさを思い出させてくれます。柿とクルミの白和え、まったりと濃厚でよき風味でした。
また、おやつのおススメは雑穀米のおはぎ。全然甘くない、素材其のものの味がクセになるおはぎです。間借りとはいえ、オーナーさんの誠実なお人柄が伝わるアットホームな雰囲気になっていました。
美術館梯子は京都国立近代美術館の『LOVEファッションー私を着がえるとき』展。
会期は11月24日まででしたので、もう終了しましたが、近美が構想を練って隔年開く美術工芸から見た衣裳についての企画展なので、記録として載せたいと思います。
なお、此の展覧会は巡回して、次回は熊本、東京です。
展示室は専門学校の生徒たちでいっぱいでした。みんな会場の衣裳に負けない個性的な洋服で写真を撮りあって楽しそうでした。若いのは良いことだ!もっと元気で過激なファッションを楽しんでー。景気の悪いときこそ!
4階常設コレクションギャラリー展示は、12月1日まで。
秋野不矩、加山又三、石本正、麻田鷹司、上村松篁、上村淳之、創画会を代表する巨匠の皆さんが逝ってしまわれましたが、地元京都市立芸術大学と深い関わりを持つ会なので、今後も若手の活躍を期待します。
「志村ふくみと紬展」
滋賀県で制作されていた染色家志村ふくみさんの回顧展、ファッションの特別展に絡めて展示していました。大きなタペストリーのタイトルは、「母衣曼荼羅」京博で曼荼羅図をたくさん観てきただけに、美しい色の構成で描かれる曼荼羅には感慨深いものがありました。草木染だけで、ほんとうに素晴らしい色が表せるものですね。
晩秋の京都、日脚もすっかり早くなりました。
by mottainai-amata
| 2024-11-25 15:53
| 観てみよう展覧会
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