2024年 10月 26日
神戸ファッション美術館『百雲繚乱』『フィンランドのライフスタイル』展 |
六甲ライナーに乗って、神戸・六甲アイランドにある「神戸ファッション美術館」へ。京都で生活していると海を見ることがないので、ちょっとした小旅行気分です。
お昼から曇り空になってきましたが、海風があるので、京都盆地みたいに蒸し暑くない。しみじみ京都は特別暑いですね。昼間のアイランドは、高層マンションばかりで人気がないのが常ですが、大学や専門学校ができたおかげで若い人が増えていました。此の日もアジア系の学生らしき団体が駅の階段で溢れていました。逆流に巻き込まれて、ものすごい騒音で何が起こったの?此処はどこ?一瞬びっくりしました。社会見学みたいなものでしょうか。無人運転の2両編成六甲ライナーに、インドの電車の如し寿司詰め状態で乗るのでしょうね。よかった、タイミング合わなくて。
自社仏閣、近代建築、、、新旧問わず、実際訪ねられた旅行先の想い出も一緒に一針づつ丁寧に刺して制作されています。お気に入りの建物の写真を基にして、方眼紙にデザイン起こし直して、藍だけで染めた糸で一針一針刺して制作されます。藍の微妙なグラデーションが美しかったです。雲の表現にとてもリアリティがあるのは、毎日窓から眺めては写真を撮って、スケッチされているのからでしょうね。刺し子のタペストリーですが、遠近感を感じる他では見たことのない表現でした。
「神戸ファッション美術館」というだけに、ファッションに関する展示も常設で観ることができます。只今はドレスコレクション展『皇帝ナポレオンとその時代ー革命がもたらした新しいファッション』19世紀初頭のファッションをボディに着せて、360度見せる立体感のある展示になっていました。日本の着物もかなり手がかかりますが、西洋のドレスも並々ならぬ作業です。

エビアンのインテリア、改めて眺めれば、フィンランドデザインに通づるものがありませんか?(決して確認に来たわけではないのですが!)おそらく開店時から変わっていないインテリアと、アクセントになっている「エビアンカラー」
老舗の共通点は、お店の特徴を維持されているところ、定休日以外は街の灯になっているところ、経営されている方の愛情が伝わるところ。おそらく家族経営されているエビアン。番台のオシャレなお母さんご健在でした。あ、最後に価格帯が適正で良心的であるところ。古き良き神戸の愛すべきお店です。

弊店のお客さまが4階ギャラリーにて刺し子作品の個展を開いておられます。
去年も此方へお伺いしました。去年と違うのは、お母さまの仮名書の遺作が一点だけ展示されていたこと。一年はあっという間ですね。
力作揃いの刺し子作品36点、今回のテーマ『百雲繚乱』は、建物の背景になる雲の美しさを表現されたものです。素敵なタイトルだと思いました。

会場の奥が、予期せぬ期日前選挙投票場所になってしまったこと!長い列がギャラリーの真ん中を分断するかたちとなってしまって、「困るわー」と、仰っていましたが、地元の方々が偶然ご覧になる機会となり、関心を持って質問する方も。今年は賑やかな個展になったのではないでしょうか。
ちょうどファッション美術館1階で、『フィンランドのライフスタイル』展覧会開催中。(11月10日まで)
フィンランドの有名デザイナーと職人が遺した代表的な家具、陶器、ガラス、テキスタイルなどがたくさん出展されています。自然に基づく有機的なデザインは、日本のデザインと通じるものがあります。
整形合板を使ったシンプルなスタッキング構造の椅子。無駄も無理もない、よく考えられたデザイン。そして安価に作ることができます。柳宗理のバタフライスツールの発想も北欧のデザインから。だと思います。
沖縄の再生ガラス吹きガラスを思わせるあたたかみのある泡ガラスのボトル。蓋は自由に変えられて、好きな組み合わせを楽しめる。
会場では、著名なデザイナーの紹介に基づいて区分された展示になっていましたが、初期の工芸品は、あえて「デザイン作品」というより、もっと生活に寄り添う暮らしの一部の様に感じました。
長い冬季を屋内で楽しむ、色とりどりのガラスオブジェ。過日、京都「えき」美術館で「イッタラ展」を観ましたが、あの時よりたくさんのヴィンテージバードが勢揃い。毎年限定数の新作が世に出るので、世界中にコレクターがいます。手放す人が少ないので、入手困難なデザインも多いとか。
インテリアに対する遊び心は、大人も子どもも感動するものが多く、さすが!
実は、此の展覧会を勧めてくださったのは、木工作家の川上嘉彦さんです。若し工業デザイナー時代に憧れた数々のデザインが、フィンランドのデザインだったそうです。川上さんが制作される今の木工作品を見ても納得です。鳥のモチーフも影響を受けてらっしゃるのでしょう。フィンランドに移住されていたご友人は、「町の公民館の様な場所で普通に使われていますよ」と仰るそうです。
日本では、北欧デザインというとスタイリッシュでインテリア通好みの高級感があります。でも、暮らしに溶け込む良いデザインとは、環境に適した豊かさを感じる知恵から生まれるものだと思いました。木の文化の国日本にも多くの優れたデザインがあります。ただ、昨今のコスパにタイパ、効率性ばかり追うのでは良いものは生まれないのではないかと感じます。使う側にも良いものを長く大事に使う覚悟が必要です。

元町大丸の近くにある老舗喫茶店「エビアンコーヒー」戦後、神戸で初めて自家焙煎コーヒー店を始めたお店。
カウンターは、「ブレンド」其のひとことでスッと飲んでサッと帰る男性や、仕事の休憩でほっこりする女性たち。定番のシンプルなチーズケーキとプリンのセットメニューは買い物途中のご夫婦方に人気です。ゆっくりおしゃべりできる雰囲気が良いですね。


by mottainai-amata
| 2024-10-26 13:37
| 街に美を漁る会
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