2021年 05月 12日
滑り込み『鑑真和上と戒律のあゆみ展』 |
今日から非常事態制限が一部緩和されたので、博物館、美術館が再開館しました。
躑躅園も誰にも見られることなしに、すっかり散ってしまって、、残念。
小生も招待券を握ったまゝ、今か今かと待っておりました。
会期は16日まで。もはやカウントダウンかかっております、
京都国立博物館 特別展『鑑真和上と戒律のあゆみ』
去年から何度か悔しい目にあって、使えない券をゴミにしてきているのに。。
事前予約が必要な美術鑑賞ほど歯痒いものはなし。
近くて遠い京博でございますーー
今回の再開は予約なしでも鑑賞できます。店を営業しなくてはいけないので、
とにかく今朝開館同時に入場しましたが、館内は思った以上に空いていました。
国宝の鑑真和上坐像は1階の1番奥の展示室。と、事前確認済みです。
此れをゆっくり観ないことには、わざわざ来た甲斐がない。
3階第1章からスタートの一般的観覧者とは逆回りで、1階第5章展示から鑑賞すべし。
だあれもいない、貸切状態で1階展示室を見終わりました。
とっても贅沢な時間を過ごせました。笑
鑑真和上坐像、唐招提寺では暗くて繊細な表現まで観ることができないでしょう。
寺外では12年ぶり、京博では45年ぶりのご出張だそうです。
全体を包む厳かな気迫のなかに、柔和なお顔、小さな坐像ですが大きく感じられました。本物を見て新発見でしたが、軽く結ばれた両手は、身体の中心から少々ずれておられるのですね、
あえてずらして人間味を表現しているのか、意図はないのか、奈良時代8世紀の仏師に問うてみたいものです。いや、仏師の作かどうかも定かでないですね。信仰篤い弟子によるものかもしれません。
今回の展覧会は、命がけ6度目の渡航で入国し、日本仏教の発展に貢献した鑑真(688〜763)と、明治時代に至るまでの戒律のおしえがどのように伝えられてきたか。を宗派を超えて貴重な文献と宝物で紹介するものです。
テーマは「戒律」です。出家修行者だけではなく、在家信者にも科せられる厳しい戒律に、さまざまな解釈と対立する意見もあったようです。
展示物で法隆寺に伝わる重文の「布薩手洗」「布薩水瓶」がありましたが、「布薩(ふさつ)」というのは、出家修行者達が月2回、朔月と望月に集まり、戒本を読み上げ抵触していないか確認、反省、懺悔する会合なのです。
(ちなみに今日は朔月=新月です)
その時に使用する手洗道具が遺されているのですね。在家信者でも生活のなかの五戒を守っているかどうか反省、確認する会合が月6回もあったそうで、其れが六斎日といわれ、六斎念仏、六斎市に発展したとのこと。
今世界中で、我ら人類はコロナ禍となる以前当たりまえに振る舞っていた生活に自粛、制限を強いられています。何が自由で何が不自由なのか?をも考えさせられる機会になりました。事態が収束したのちに、どんな日常に戻るのか誰にもわかりませんが、仏教において戒律のおしえのなかに「利他の精神」が重んじられており、困った人びとに手を差し伸べる行為が定められています(慈悲)。寺院が富くじを発行したりして、勧進という募金活動で集めたお金を基に、灌漑、治水事業、病院や寺院の設立など社会福祉に役立ててきました。
世界には無数の宗教がありますが「忘己利他」の精神を説く宗教が伝われば、平和な世界になろうはず。
困難な時代こそ。
今回の展覧会は、仏教に関するたくさんの貴重な文書が出展されていました。
一組だけ中国人の観覧者に出会いましたが、其れは其れは熱心に(大きな声で)、
お互いの意見を言い合ってご覧になってました。
最も良い季節の会期だけに、企画者はさぞアジア旅行者に期待されていたことかと。
次回は『京(みやこ)の国宝』展。風神雷神さんも、春日権現絵巻も出張りますー
此れまた、オリンピック開催を期待しての企画でしょう。会期通り開館できますよう。
館内の庭園にある東大寺燈籠の複製品。
東大寺の金堂前で見るとさほど大きく見えないのに、立派だなぁー
かつておわした北隣の京の大仏さんの前だったら、どってことないかもしれませんー
by mottainai-amata
| 2021-05-12 19:21
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