2021年 04月 25日
『令和春 民藝茶会』ご報告 |
良いお天気の週末、昼下がりのあまたの会『令和春 民藝茶会』を二席開きました。
京都も日曜日から緊急事態発令、本当にギリギリ滑り込みの催事でしたが、
無事に終えられてホッとしております。
ご参加頂きました皆さま誠に有難うございました。
全国の民窯、六古窯のなかから新旧取り混ぜた、選りすぐりの数多茶碗をご提供頂きました。ずらり並んだ貴重なコレクション、其々の茶碗には栄枯盛衰の背景もあり。
手に取って夢想する、眼福の極み。
この度ご講師の焼物蒐集家・愛好家でらっしゃる安藤氏より、
焼物の見方、お茶碗の見処、さらには、現代までの民藝運動・民陶・もの作りに携わる人々までも〜
情報量満載のレジュメをご用意頂きまして、丁寧なご紹介賜わりました。
ほんとうに時間制限が悔しいほど。
変化に富んでいます。そんな風土に根ざした焼物が、南沖縄から東北地方に至るまで
時代の需要と供給と共して、切磋琢磨を繰り返し発展してきました。
旧くは煮炊きものする道具、水や酒、味噌、藍甕、瓦、土管などの生活必需品が主流でしたので、銘々茶碗として庶民の手に「茶碗」が広く行き届くようになったのは近年のことです。
千利休や豊臣秀吉の時代に起こった茶碗(焼物)戦争、もたらされた井戸茶碗、大名物などの茶陶器、後に「侘び寂び」の美意識を生みます。日本文化のルネサンス、特権階級の文化のエポックでした。
箱書のある「抹茶茶碗」、民衆のための窯業が茶陶窯になることもあり、
はたまた全く茶陶として意識されずに作られてきた系譜のなかで素晴らしい茶碗もできるのです。
安藤氏が語られる「どれも個別に触れてみると大変に魅力的で、手元で抹茶を点ててみると、峻厳な茶道文化とは一味違う、心が安らぐような時間をもたらしてくれるものです」とは、使うための茶碗として、日常生活の範疇から見出された美。
深いご考察です。飾るものではなく、実際愉しむ、育てる喜びを感じつゝ蒐集されているのが素晴らしいと思います。ご自身では「貧乏数寄」と仰っていますが、恐らくは大枚の授業料を身銭切っておられることでしょう。
秋田県楢岡焼抹茶碗(小松哲郎作)、布志名焼ぼてぼて茶碗(明治末〜大正)・牛ノ戸焼掛分五郎八茶碗(小林孝男2017年代)、信楽焼手捏ね茶碗(坂口神月昭和戦後)、大日窯泉山釉白磁茶碗(2019年特注品)・小鹿田焼そばがき碗(柳瀬朝夫2015年)、、、、
何れも安藤さんの思い入れのあるお茶碗ばかり。
有田の大日窯の茶碗などは、電話にて白磁のシンプルなデザイン、お茶を楽しめる手取りと機能性を持った雰囲気のものを、、とお伝えになって、窯元も安藤さん好みのニュアンスを汲んで引き受けてくださったそうです。結果、大満足の満点の白磁茶碗が送られてきたとのこと。
様々の焼物の背景を熱く語って頂き、まるで全国窯巡りしたかの様でした。
皆さんに気になるお茶碗をお選び頂いて、実際に薄茶を召し上がって頂きました。
見たり触ったりするときとは違い、さらに口当たりやお茶の色味も感じられますね。
見ての通り、今回はいわゆる「正面」のない茶碗ばかりです。
今回のサブタイトルにして頂いた <〜身近に「お茶」を見つけませんか〜>
正しくそのとおり。作法にこだわらず、気取らずにお茶を楽しんでみましょう。
お菓子もわざわざお茶菓子として購入しない、日常のもので取り合わせしてみました。
お菓子の素である完熟の果物(山形県松兵衛の梅しぐれ・台湾パイナップル)・
京都を代表する白味噌を用いた松風(本願寺御用達亀屋陸奥)です。
松風はなんと!戦国時代の兵糧が起源のお菓子。
お茶は京都の茶舗一保堂と松籟園を選びました。お茶の味も問屋や銘柄によって違います。
二服とも薄茶ですが、若々しいさっぱりした方を先に呈したり後にしたり。
お皿も安藤コレクション、小鹿田焼に益子焼、レアな北海道北斗窯の小森忍までーー
今回の民藝茶会、二席設けましたので、お集まり頂いたお客さまによって反応が異なること、其れもまた一期一会の愉しみ。
ご講師も其処はキチッと踏まえて頂いて、内容も臨機応変に柔軟に進めて頂きました。お菓子やお茶のタイミングもお話しの流れのまゝです。
二席目の日脚が長くなった夕暮れ時のお茶会もなかなか良かったですね。
ご参加頂きました皆さまよりのご感想「日常の中にある非日常感が良かった」
「ステイホームのあいだ、私も盆点前をやってみよう」「焼物鑑定の勉強になった」
などなど、、、
京都も緊急事態で連休が自粛期間となってしまいます。
家で気軽に爽やかなお茶を楽しんで頂く機会にして頂ければ嬉しいです。
むつかしいこと抜きに、お茶の時間は本当に良いですね。
次回は『令和秋 民藝茶会』を開く予定です。
また楽しい企画にしますので、乞うご期待。
登り窯の道具である「さや」ですが、見立てて花生けになるものなのですね、
二日ほど浸水しておけば、良い色の窯変が浮き上がってきます。
残欠の美は極めの美。安藤氏の寄贈品ですが、育てる喜びを共して、、、にやにや。
by mottainai-amata
| 2021-04-25 23:30
| あまた民藝茶会
|
Comments(2)
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渡部
at 2021-04-27 18:39
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なんという、素晴らしい贅沢な時間! 写真拡大して見ちゃってますが、、、やっぱりその空間で、手に持って、お茶たてて 味わって見たかったです。 白磁のお茶碗、特注なんですね、、すごい! 緊急事態で、またしても美術館も博物館も植物園も動物園も、、、、なんで、美術館や植物園まで、、、と。 ちなみに神社はお構いなしで開けてます(笑)いつもより半月くらい早い新緑がとっても気持ちいいです。
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mottainai-amata at 2021-04-28 19:12
渡部さん
何時もご愛読ありがとうございます。
次回の秋の会はぜひご参加くださいませ。
皆さんお喜び頂いて、なんとか第一回は成功でした。
自粛自粛で日常の気分転換を工夫しなくては息がつまりそうですね。
また葵祭も規模縮小のようで。。。
本当に、新緑の一番良い季節ですのにねぇ。
何時もご愛読ありがとうございます。
次回の秋の会はぜひご参加くださいませ。
皆さんお喜び頂いて、なんとか第一回は成功でした。
自粛自粛で日常の気分転換を工夫しなくては息がつまりそうですね。
また葵祭も規模縮小のようで。。。
本当に、新緑の一番良い季節ですのにねぇ。