「光冠(ころな)茶会」in 京都芸術センター

京の烏丸室町はかつて、南北に連なる呉服業の問屋街でした。

今は立地条件の良さから、マンションやホテルがニョキニョキと乱立する通りと

なってしまいましたが。。。祇園祭の鉾町でもあり、常に課題山積です。。。

少子高齢化で統廃合する小学校が多いなかで、京都独自の学校文化「番組小学校制度」を残し、地域社会との交流の場、文化芸術の発信の場としてリノベーションされた「明倫小学校」が、今現在の「京都芸術センター」

開館して早や20年とは、驚きですねー

此の小学校は市内でも特殊な、地元の名士(白足袋さんの旦那はんたち)や、

多くの市民の方々のバックアップによって完成した自治区の学校です。

地域密着型の、今でいうクラウドファウンディングでしょうか。

校内の此処彼処に散りばめられた、目を惹く和洋折衷のモダンなデザイン、

畳敷の広い講堂は舞や踊りの練習場として、炉の切られたお茶室では茶の湯を嗜み、

そんなサロン的要素をも併せ持つ洒落た小学校。

風格ある最先端の小学校を、我が町の誇りに感じておられる方は多いことでしょう。

バブルも崩壊、時代は急変、しかし閉校した後もほぼ現状維持のまゝ、市のバックアップで新旧問わない世界にひらかれた芸術活動に利用されているのが、何より良いところですね。

今日は流れてきたfacebookの案内を見て、おやっと思う節あり、久しぶりの訪問です。

芸術センターは長年、「明倫茶会」というあらゆるジャンルで活躍される席主を招くユニークな茶会を開いてこられました。しかし、コロナ禍における茶会は、三密を避けることができません。

今回は「光冠(コロナ)茶会」というオンラインによる茶会を企画されました。

2月23日〜3月31日の間に、席主10名による多彩な茶会が開かれます。

歌舞伎俳優 中村壱太郎氏、現在アート ヤノベケンジ氏、料理人 吉田裕子氏など、、、

事前予約制で、席主が選んだお茶やお菓子を詰め合わせた茶箱が送られてきて、

ライブ配信視聴しながら共に楽しむというものです。

第一回は、席主 美術家 英ゆう氏。そして、弊店あまたのお客さまである庭師 植彦さんの煎茶会。

茶箱のなかには、創意工夫の竹を切って作った茶碗などが配送されるそうです。

ご自宅に茶室(甘雨庵)を創ったとは伺っていましたが、こんな風に広く活動されているとは。案内で知った偶然ですが、アラビックリ！趣味と実益を兼ねて頑張っておられますねー

芸術センターの茶室の設えは、茶室に居ながらも庭を感じられるような想像の空間。

英氏は、京都市立芸術大学大学院を卒業して、文化庁新進芸術家海外派遣制度により

約10年タイランドと京都を行き来して交流した美術家。

展覧会「作庭をひらく」に寄せられた想い

<美術作品は希望を表現するものだという信念を持って、これまで私は人と自然が豊かに調和する光景を描くことを核に絵を描いてきた。タイでの長いリサーチや滞在制作を通して日本人の自然観を見直し、人の美意識を通して作り上げられる自然の姿として、タイの供花や日本の庭をモチーフにしてきている。庭はまさに日本人の知識と美意識の宝庫であり、個人的な創意を盛り込んでいくこともできるオールマイティな場であり、必ずしも実体がなくてはならないわけでもなく、非常に抽象的に定義することもできるが、そこには必ず場という意識と人の創意がある。いかにして絵画で庭を作り出すか、という試みの一つを今回また和室明倫でさせていただくことになり、心から感謝している。>

と、作者はプロフィールと併せて一気に綴っておられます。

実際、展覧会会場である茶室にて、映像によって主催者から発信するリモート茶会で、受け取ったお正客(全員)が室内に居ながら、ひらかれた空間を何れだけ体感できるかは、当日のお楽しみだと思います。

茶室の撮影はできませんでしたので、上記HPに掲載されている作品を拝借しました。

庭を形作る屏風や染料を用いたタペストリーアートです。

此処に共生するように、植彦さんの自然の竹や笹、白梅が生けられていました。

美術作品と自然の美が一体となった茶室は、古より愉しまれてきた日本人の創造の世界。とまれ、今と違うのは、人間が現実に共有する間と空気。

オンライン茶会、ご興味お持ちの方はHPご参考に。

京都芸術センター「光冠茶会」

(2月23日開催の第一回「帰家穏座」は、満員御礼だそうです)

現在アートと共生する明倫小学校、ギッシギッシ音のする木の廊下、

磨り減ってまあるくなった踏面の階段、やさしいアールの手すりなど、、、、

何時来ても飽きない、懐かしい木の香りのする空間です。

京の近代建築を代表とする建物。お昼の明るい時間にぜひご訪問ください。

アーティストが部屋を借りて制作したり、講堂でダンスの呼吸を整え合ったり。

現在は、校内全体がエネルギー溢れる創作の場です。

一階には、作家と地元人のお茶の間を感じる京の老舗喫茶店の出張所「前田珈琲」もありますよ。

勤勉の象徴、二宮金次郎さんもマスク姿です。

何時自由な深呼吸が解放されるやら、、、、、

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