『横山華山展』京都文化博物館

遅い梅雨明けで忘れていたかのような、陽炎立つ京の猛暑。。

連日厳しい暑さです。全国最高気温上位ランキングなど、ご遠慮したいのに。

涼しい極楽の涼を求めて、三条高倉通の京都文化博物館へーー

『まだいた、忘れられた天才絵師 横山華山展』やっぱり観とこ。

江戸の末期に京都で活躍した絵師の作品は、ボストン美術館に十数点収蔵

されていて、フェノロサも太鼓判の凄腕でした。

曾我蕭白と縁があり、幼少期から独学し、絵画の才覚を現していました。

9歳のときに描いたとう「牛若弁慶図」は、躍動感があって、子供の落書きとは

思えません。(横つながり、宮本武蔵を描いていた横尾忠則少年を思い出しました)

岸駒に入門し、多くの流派の画法を身につけ、54歳で亡くなる直前まで、幅広い

作画に取り組みます。特には人物画、世相を表す細密の風俗画に特長があると

思いました。とにかく器用で、生真面目でうますぎ。

お酒が好きだったらしい華山さん、酒宴の勢いに乗せられて即興で描く席画も

数多く残っていますが、酔拳とは思えないまっとうな筆さばき。

30mに及ぶ「祇園祭礼図巻」の一挙公開は、今回の展示会目玉作品のひとつ。

山鉾の懸想品、町衆の表情、着物までも詳細に描き込まれていて、この度の

「鷹山」復元資料として大いに役立ったそうです。もう失われてしまった風習、

祇園祭に芸舞妓が登場する「神輿洗いの練り物」や、京都の町を俯瞰図で描かれた

「花洛一覧図」では、東山の豊国寺大仏殿も見られます。

初めての大回顧展、かつて有名だった画家の掘り起こしのチャンスです。

展覧会は8月17日まで。

２階の総合展示室の「池大雅特集」ほぼ同時代に活躍した京都の文人画家。

横山華山と作風は対照的。中国文化や南画の影響を受けて水墨画が多く、

書の方も達筆。若いときからすでに枯れたような深い味わい。洒脱な大雅は、

呑まなくたって常に酔拳みたいでしょう。私は好みですけれど。

特別展のチケットがあれば、３階のフィルムシアターまでも楽しめます。

7月は懐かし「京マチ子追悼特集」。安部公房原作「他人の顔」を観ました。

今となっては禁じ手のシーンばっかりでしょうが、まさに時代ですね、

何ともシュールな世界で引き込まれます。よくこんな映像撮ったなーと。

監督 勅使河原宏、チョイ役でも個性派のキャスト陣 仲代達矢、岡田英次、

岸田今日子、田中邦衛、市原悦子。。音楽 武満徹の今となっては豪華版。

セットやロケ場は決して豪華じゃない。新橋のライオンビアホールに安部自身

エキストラでチラッと映ったり。笑

120分がアッという間。出演者の演技力、会話のやり取りに引き込まれます。

人間のペルソナ、心のひだの複雑さを表現する、もし自分だったらどうする？

あなたなら？まさか？そう考えこませる映画。久しぶりに映画らしい映画。

8月のフィルムシアターは、4日まで子ども映画祭、その後映画で感じる夏特集〜

「原爆の子」「太陽の季節」「狂った果実」「祇園囃子」など。。

涼しくて一日愉しめる文博。夏は特にオススメ。

京都文化博物館HP

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