2018年 11月 07日
小鹿田焼 名工黒木力さん最後の民陶 |
大分県日田市には一子相伝の伝統を守りながら土地に根付いた
民陶の手仕事を日々続ける集落があります。それが小鹿田焼の皿山。
あまた開店当時からお世話になってきました黒木力窯さん、
ご当主の黒木さんが米寿を迎えられる今年を期に、引退されました。
後継者であったはずの息子さんが亡くなられた翌年、
私が窯元を訪ねたというご縁が生まれました。
10年間のあいだ、弊店のお客さまが長い道のりをかけて黒木力さんの元へ、
本当にたくさん訪ねてくださいました。
現地からメールや電話で熱いご報告を頂いたり、写真を届けてくださったり。
私の気持ちも便乗させて頂いたようで、とても嬉しかったです。
九州の地震、豪雨災害、長年住み見慣れた土地でまさかの天災が
立て続けに起こって、大きなショックを受けられたことでしょう。
年2度のお楽しみの民陶祭も丸一年と中止になってしまいました。
今秋は久しぶりに開かれた民陶祭でした。全国からたくさんの方がみえた
そうです。良かったですね。大きな励みになりますよね。
「地元に来てくださったお客さま優先で販売したい」
と、黒木さんは年明けに引退宣言のおたよりをくださったときに仰いました。
引退宣言は突然のこと、最後のお作を少しでも分けて欲しい、せめてもう一度
窯を焚いて欲しいと思うのは、業者の欲でした。
此処にあるのがもう最後ですよ。といいながら、黒木力さんのファンの方に
お勧めしてきまして、今夏店には作品は何にも残っておりませんでした。
引退されたことを大きく広めると、お問い合わせがあったりご迷惑かけて
しまうと思い、ファンの方だけにこっそりお知らせしてきました。
店頭に黒木さんの個性的なお作がなくなると、ほんとに淋しいですね。
小鹿田焼は好きですけれど、さて、他の窯の仕事というとピンとこないのです。
昨今は京都のゲストハウスの備品のうつわまでも小鹿田焼を常備しているところが
あります。ひと昔前は「おじかだやき」なんていわれて、知名度も低かった地方の
民陶でした。今やすっかりブランドとなりました。
この流れは、確かにとても良いことだと思います。
多くの方に愛される伝統的な陶器が広がってゆけば、使い捨て社会も見直されます。
でも、一時のブームで画一化されるのは、どうかと思います。
地方色豊かな陶器が全国にあってこその日本の陶磁器史です。
ちっさな国土に、多種多様な陶磁器の窯があるこんな豊かな国はありません。
だからこそ、昭和の伝統を今に伝える、大らかで素朴な存在感のある黒木力
さんの手仕事が、今後継承されないことが残念で仕方がありません。
時間とともに、もう消え去ってしまいます。
黒木さんの身体の中に染み込んだ時代と風土に基づく形が蘇ることはありません。
「昭和の名工」として、弊店を通じてご紹介でき、多くのお客さまにご愛用
頂いていること、それだけでも幸いです。
民陶祭のあとの最後のお作を分けて頂くことができました。
力さんを支えておられる黒木孝子さんからのあたたかなお言葉、
達筆なおたよりを頂戴致しました。
手仕事とは、使うほどに作者のお人柄やモノに対する気概が伝わるのだと思います。
作者と消費者の仲介役を、微力ながら果たせたことに感謝致します。
写真ですが、届いたお作をご紹介します。
ご遠方の黒木力さんのファンの方も、もしお気に召されたらお送り致します。
角度を変えて写真をお送りすることもできます。
お気軽にお問い合わせくださいませ。
黒木力さんの蓋壺は肩が張って、韓国の焼酎甕を思わせます。
裏は刷毛目のおおらかな一筆でご注目。


次の展示会『伊藤由貴 ガラス展』(10日〜23日)
『SHIO*ふゆごもり展』(11月26日〜12月6日)
の間は常設にまとめて展示しますので、数がお入用の方はお声をかけてください。
by mottainai-amata
| 2018-11-07 13:08
| 九州民陶
|
Comments(0)
































