
早いもので、平成30年も上半期が過ぎようとしております。
6月30日になると、夏越の祓の神事にちなんで、京都人はこの三角形の和菓子、
「水無月(みなづき)」を食す慣わしが根強い。
上の水無月は、寺町四条の仙太郎製。包装紙に添えられる「和菓子歳時記」の
栞には、「私共の丹波工場(製あん)の裏山には、氷室の跡地がある。その昔、
冬の間に出来た氷を天然の氷室に枯草、雑木、稾等で覆い夏まで保存していた。
ここが、謡曲「神吉の氷室」の舞台。」と、あります。
旧暦の6月は、水の無い水無月だったのでしょう。新暦は梅雨でじめじめですが、
夏の盛りに宮中へ氷を運び、欠片を含んで涼を感じ、暑気あたりを防いだ。
庶民は、夏の氷など見ることもできなかった貴重品、それで氷の結晶を真似て
作ったのが、和菓子の水無月といわれております。
平安貴族の氷室の氷→三角形の氷を外郎で表現、上に小豆を散らして魔除けとする。
関西のうちでも、特に京都に根強いというのは、この繋がりがあるからでしょう。
氷室跡地に縁のある仙太郎さんの水無月を戴く、というのも面白いなと思います。
台は白と抹茶と黒糖。其々しっかりした香りの個性派です。黒糖は、沖縄の風味。
さすが、丹波大納言にこだわる店だけに、濃厚な小豆の後口がひきます。美味し。
今も京都近郊に「氷室跡」があります。
西賀茂地区には、氷室町、氷室川、氷室神社という名が、当時を偲ばせます。
そこからヒントを得て「京都氷室街道殺人事件」なんて小説を書いた人も
いらっしゃる。
「延喜式」に登場する氷室10箇所は、山城国6箇所、大和国、河内国、丹波国、
近江国が各1箇所づつらしいです。
出来るだけ距離は近い方が輸送のリスクも低いわけで、京都市内を囲む山々にも
氷室はあったようです。今は5箇所残るといわれます。御室氷室、衣笠氷室、
高野氷室、本氷室が西賀茂氷室神社内、西氷室がその西南に。

弊店のご近所の和菓子屋さんも本日は「水無月の日」
亀廣光さんは、普段作ってらっしゃらない。この日限りの販売。
一日限りの店も結構ありますので、北へ南へと梯子買いの方も多いとか〜〜

亀廣光さん、白と黒糖の2種類のやわらかい外郎台に、甘さ控え目の小豆です。

雨上がりの合間を縫って、どのお店も三角標を求めてやって来るお客さんが
絶えません!他府県の方には、そんな冗談でしょう?と思われているみたいですが、
京都和菓子業界の夏一番の掻き入れ時、それが夏越の祓の日なのです。

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