2018年 06月 20日
京都国立博物館『常設展』、イッセイミヤケ『インドのものづくり展』 |
いま、京都国立博物館の常設展が面白い。
旧平常展示館がなくなって、特別展以外の期間でないと、一級品の収蔵作品が
観られない現状況。
博物館・美術館とは、収蔵品の保管、修理、調査記録、収集充実化が最も大切なの
であって、遠方から保険をかけて集めた作品で開く特別展よりも、当館の常設で
入場者数を確保、運営を維持できるのが理想。(日本では先ずありえないですが)
京都国立博物館は、旧本館である明治の建物が利用できないので致し方ないのですが、この度2010年〜2016年までに購入されたり、寄贈された、新たな7年分の
収品を初公開しています。
絵巻〜仏像〜漆器〜着物〜陶磁器〜考古まで内容は盛りだくさん。
7月16日(祝)まで。この見応えで、常設展入場券¥520は嬉しい。
梅雨とあって、平日でも博物館来館者は結構多いのですね。
8割アジア系観光客でした。イヤホンガイドから漏れてくる声までも賑やかで(笑)
美術作品の売買と美術館・博物館のあり方についてタイミング良い記事を読みました。こんな仕事のために、文化庁が京都に遷移されるのでしょうか。
3階の日本と東洋の焼物は旧蔵品ですが、「祝宴のうつわ・大皿特集」でした。
大らかな磁州窯、端正な龍泉窯、景徳鎮、力強い備前窯、民藝の底力武雄の窯・・・よくぞここまで遺されてきたものだ。最近よくお客様からお問い合わせ頂く金継ぎに
ついて。古典の展示作品を観るときの私のひとつの見所。繕いの美学。
もっとさらに遡って須恵器の造形、心満たされ感動いっぱい。2階の長沢蘆雪絵巻物、関東系水墨画、小田原狩野派の作品初めて拝見、
国宝「漢書楊雄伝第五十七」欧陽詢風書体が美しく、1階の地蔵と十王木像、
地獄の世界特集は、絵画コーナーとも連動した撰品、平面と立体の人間が描く想像の
世界、さまざまな地蔵に奪衣婆!面白かったです。
されている式部輝忠筆「四季山水図屏風」高精細復写版。式部については、
解説にあるように近年知られ始めた画家。新収品展のなかにも昨品があり、
私も小田原狩野派という一派があることを知りました。
今後の研究調査で注目される画家かもしれません。
処変わって、柳馬場三条下る、新しいイッセイミヤケ店の蔵ギャラリーにて、
「インドのものづくり・Khadiカディ展」開いています。6月24日まで。
カディ再興の祖である故Martand Singh(マルタン・シン)のビデオを共して
「独立・雇用・死生・創造」を信条に自由の布と呼ばれたガティの展示、
作る過程の映像、町家店舗2階で洋服の販売もされています。
手織りする贅沢な綿布。イッセイミヤケは1980年からインドの文化と交流を続けて、共同のブランドHaaTを持っています。ファストファッションとは全く対照的な
手仕事のカディ。
インドの国旗の中央に糸車が配された背景には、輸入品を断ち国産の綿布に身を
包む不買運動から、独立、希望の象徴となったカディがあります。カディ・クルタ
というこの綿布で仕立てられた衣服は、今でも正装や訪問着に着られています。
マルタン・シンは、日常着として身に纏い、2017年亡くなるまでインドの文化
復興活動に尽力しました。
白一色のテキスタイルですが、手紡ぎの繊細な織りの風合い、糸の不規則な
捻によって表情がすべて違います。衣服は気品があって素敵でした。
何度かあまたの会にて、愛知県岡崎市の「ファナビス」さんによる綿の手紡ぎ
講座を開いて頂いてますが、日本の糸車は手廻し水車型、独楽型がありました。
インドのチャルカはレコード盤のようです。国によって仕組みが異なる、
面白いですね。
イッセイミヤケの店舗も無駄のないインテリア、町家再生のモデルハウスのひとつ。
現日本民藝館館長 プロダクトデザイナー深澤直人氏のデザイン。
久しぶりの京都、白昼街中ブラあまた。三条界隈にフランスのショコラティエ、
ロンドンのデリカフェ、金箔クリームパン屋、有機野菜と自然食品の店、
ホテルにゲストハウス。。。あんまりの変化にビックリ。
パン屋さんのレジで店員の英国人に「着物着てるのはイイですね」と日本語で
声をかけられ、「日本のユニフォームですから」なんて。どやさ、複雑。
by mottainai-amata
| 2018-06-20 17:03
| 観てみよう展覧会
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