昨日は久しぶりの昼間の京博。最低気温ー4℃、最高気温3℃の京都市内。
雪は降りませんが、風が冷たい。
予想どおり観覧者は外国人観光客ばっかりでした。アジアの方と日本人とは
動線が違いますので、すぐにわかります。館内でスマホ使わなくてもわかるんです。
ガラスケースの前でぶつかりそうになることもしばしば。空いているのに、何故?
3月18日までの特集展は「豪商の蔵」〜美しい暮らしの遺産〜
京都国立博物館に寄贈された1000件を超える作品のお披露目でした。
泉州は貝塚で米穀の廻船問屋として成功した、廣海(ひろみ)家の敷地は間口約34m
の町家、茶室、4棟の土蔵が並び、この蔵に眠っていた大量の書画、茶器、調度など
を寄贈されたそうです。この大型寄贈で京博の調査も6年かかったとか。
江戸後期の豪商の暮らしのなかの逸品が、ほぼ初公開で展示されています。
煎茶、抹茶の茶道から香道、婚礼衣装まで商家の暮らしぶりが垣間見られて、
面白いです。贅を尽くしたというのも成金趣味でもなく、紀州の御庭焼「偕楽園焼」
のバックアップをしたり、当時の新進作家の手と手を繋ぐコラボレーション作品の
注文をしたりしています。千家十職の五家が其々担当した「田楽箱」菊池契月が
板絵を担当した「上臈彩色板文庫」まさに趣味人の遊び。
大正9年の三代当主の金婚式の祝宴のために作らせた膳椀具は、光琳図案を蒔絵で
表現したもの。数十人分のお誂えは、現在の金額で420万円相当になるそうです。
ハレの舞台にかける心意気がすごいですね〜
今期の一階の彫刻・仏像コーナーは、なかなか佳いですよ!
一階の平成知新館の開館以来、彫刻展示室の顔となっていた金剛寺の大日如来と
不動明王、安置するお堂が修理を終えたため、本家に戻っていきました。
それにかわる新たな顔として、安祥寺の五智如来を一堂に展示しています。
平安時代初期・9世紀に製作された、現存最古の五智如来。5躯がそろって展示
されるのは、修理後初めてだそうです。何とも荘厳でよい佇まいです。
高山寺の「白光神立像」も美しかったです。
「神仏と獅子・狛犬」の特集は、京博の旧常設館で観られなくなってしまった
歴代狛犬と、思いがけず再会できたので良かったです。時代ごとに狛犬の表現が
変わることにずっと興味がありまして。鎌倉時代頃からリアリズムへと変わり、
阿吽の口になって、ツノがある獅子との差別化が生まれました。
妙心寺塔頭の天球院の障壁画、狩野山楽、山雪の作品も何度か観てはおりますが、
近くでゆっくり観ていると「桃山絵画から江戸琳派へ移行する表現の変化の片鱗が
みえる重要な作品」と、解説にあるようなことがわかる気がしてきました(笑)
北は雲で真っ白。風は冷たいですが、日脚が長くなり、春の兆しもうかがえる候。
絢爛豪華な博物館でお時間過ごされるのはいかがでしょうか。
これだけ遊ばせてもらって、常設入場料¥520は嬉しい。
入り口のcafeがいつの間にやら「前田珈琲」にリニューアルされていました。