2017年 03月 21日
「文化庁移転と文化芸術の未来」トーク |
文化庁が京都に移転することになりました。移転先の候補地のことなど
新聞やTVで頻繁に話題に上るようになってきて、京都市民の間でも
「お上が来はるて、ホンマらしいで」と、いよいよ現実味を帯びてきました。
烏丸室町の京都芸術センターにて、その話題についての面白そうな講座が
ありましたので、プロの方々はどうのように考えてらっしゃるのか伺いました。
ご講師は京都ではよく知られたお二人。
デービッド・アトキンソン氏(株式会社小西美術工藝社代表取締役/元離宮二条城
事務所特別顧問)と、濱崎加奈子(公益財団法人有斐斎弘道館代表理事兼館長)氏。
現在、二条城を活性化させるさまざまな文化イベントに関わっておられますね。
「文化庁が移転することで、京都が良くなる。お金が回って、京都の芸術・文化が
活性化する。そう思ったら失敗します。移転しない方がいい。そうじゃありません。
日本の文化を立て直す最後のチャンスだと思ってください」
「本来のあるべき京都の姿を取り戻すことができれば、今回の移転は大いな意味が
あります。そして、文化というものを<贅沢品><趣味のもの>というような捉え方
ではなく、観光戦略の中で、経済活性化の柱として位置づけることが大事です」
「日本は観光立国の4つの条件<気候・自然・文化・食事>を兼ね備えた稀有な国
であるのに、海外からの観光客が落とした外貨をその国のGDPと比較した
ランキングでみると世界129ヶ国中、日本はなんと126位です」
と、アトキンソン氏なかなか手厳しい。
欧州では文化財というと箱だけではなく、建物を取り巻く景観から歴史的背景、
住んでいる人の習慣までも総合的に捉えて文化財に指定するそうです。
だと思っていると。
建前は外国人観光客向けであっても、もっと学べたり、おもてなしの精神で
人間らしい見せ方にすれば、身近に感じられるようになって、実は国民が
総合的な文化財に興味を持てるようになるのだと仰る。
アトキンソン氏のイギリスのご実家は、文化財指定になっているそうです。
自分の家でありながら他人の家のようであり、広い庭はいつも綺麗に手入れ
されていて、家の中に花が飾ってあり、展示された昔の調度品に関心を集めている。
知らない人が敷地内でバーベキューしたり、掃除体験のワークショップを開いたり
しているのには驚いた。
そんな体験談から、日本の文化財も歴史的背景がみえる飾り方や見せ方を表して、
箱だけではない、建物の意義を持たせるべきだと。
たとえ話で「床の間」「生け花」「掃除」という興味深いキーワードが出てきました。
最近の日本人に問う。床の間にあるべきモノは?というと「テレビ」と答える。
普段和室すらない住環境で、床の間のある部屋をイメージすると旅館の和室が浮かぶ
ので、「テレビ」「金庫」「熊の木彫」を置くスペースとなります。
そんな馬鹿な?いや、本当かも?
本格的な生け花が見られる場所は?
日本には華道の文化があるというけれど、実際見る機会はほとんどないし、
来客に合わせて季節ごとに掛け軸を掛け替え、花が生けられた本来の床の間の室礼は
一体何処にあるか、外国人観光客に即答できますかーー。
だったら、文化財で見せるべきだと仰るわけです。
大政奉還の舞台であった二条城では、当時どのように使われていたのか、
日本人がどんな衣装でいたのか、あの広い建物を掃除していた道具などが再現展示
されるだけでも面白いと観光客は思っているはず。
そんなアトキンソン氏の具体的なアイデアが飛び出して、司会者と濱崎氏が
「うーん。。」と腕組み。
<コスト高の文化財を維持するためには、文化財で経済活性化を図る>
文化庁が移転して東京オリンピックまでに、
京都市内のあらゆる文化財が太秦映画村みたいになるかもしれませんね。
体験型の観光にシフトして、益々京のテーマパーク化が進みそうです。
京都駅で市バスに乗ったはいいけれど、ロータリーから抜け出すまでに20分
かかったというお客さまも。あまたまで歩いて来られますよって、笑えない話。
春本番、これからが恐ろしや〜〜
by mottainai-amata
| 2017-03-21 16:03
| 街に美を漁る会
|
Comments(2)
畳の原材料が中国産や韓国産であったりしますからね。
総合性が失われて、点、点、点と、テンデバラバラになっています。
朝のBS3の鉄道旅の番組を見ていると、この間ヨーロッパを周遊していたのですが、風景がきれいなんです。いいところだけ編集したのかと思ったりします。しかし、グーグルマップで、ヨーロッパの適当な場所を選んで風景を眺めてみると、それなりの景観がある。国籍不明の住宅がならんでいる国とは違う。
国ごと根無し草になってしまうのでは、とんでもないことですね。
総合性が失われて、点、点、点と、テンデバラバラになっています。
朝のBS3の鉄道旅の番組を見ていると、この間ヨーロッパを周遊していたのですが、風景がきれいなんです。いいところだけ編集したのかと思ったりします。しかし、グーグルマップで、ヨーロッパの適当な場所を選んで風景を眺めてみると、それなりの景観がある。国籍不明の住宅がならんでいる国とは違う。
国ごと根無し草になってしまうのでは、とんでもないことですね。
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山ん山さん
畳のおはなし、講座でも伺いました。
高級京料理のお店、豪華なお料理、心づくしのおもてなし。
でも、畳が煤けてボロボロで。ここで布団をひいて寝るのはご遠慮したいなぁ。といった具合で云々。。
日本文化を構成する点、点が、知らぬ間に外国産になっています。他国から取り入れたものを「日本風」にするのが得意な国ですが、本来の「日本」はどれなのかわからなくなってきています。時代の流れと逆らうことなかれ。。でしょうか。。
畳のおはなし、講座でも伺いました。
高級京料理のお店、豪華なお料理、心づくしのおもてなし。
でも、畳が煤けてボロボロで。ここで布団をひいて寝るのはご遠慮したいなぁ。といった具合で云々。。
日本文化を構成する点、点が、知らぬ間に外国産になっています。他国から取り入れたものを「日本風」にするのが得意な国ですが、本来の「日本」はどれなのかわからなくなってきています。時代の流れと逆らうことなかれ。。でしょうか。。




















