2016年 09月 07日
美術館はしご「アンフォルメル」と「朝鮮時代の水滴」 |
昨日は気になっていた展覧会のはしごでした。
観たいと思っていたらいつの間にか終わってしまうので、
京都〜大阪をはしごしました。
京都国立近代美術館で「アンフォルメルと日本の美術展」(〜11日まで)
「あの時みんな熱かった！」というサブタイトルがついておりますが、
あの時というのは1950〜60年代ころでしょうか。
敗戦から約10年過ぎ「もはや戦後ではない」が流行語となった時代。
パリの美術評論家ミシェル・タピエが選ぶ「アンフォルメル(未定形なるもの)」
と名付けられた当時の現代アートが日本に上陸しました。
強烈な色彩、素材そのものの物質感をデフォルメした作風は、それまでの
抑えられていた外界との関係を一気に美術の世界で爆発させたかのように、
旋風として吹き荒れました。
書画や生花などの伝統的な世界でも影響を与えるほどでした。
美術館の至る所にディスプレイされた「株式会社七彩工芸」のマネキン。。
当時の関西の美術界は、かなり前衛的で奇抜な試みを発信し続けていたと
思います。
芸大が多いことも要因だと思いますが、私の恩師が活躍していた時代は、
周りを見回すとこの時代の寵児ばかりでした。京都という土地柄、焼物に
表現の対象を見出す作家が多く、八木一夫を筆頭とした「走泥社」はあまりにも
有名です。古えより、表現の形態に囚われず、素材もジャンルも越えて表現する
ことのできる芸術家(または表現者)というのは、元々日本人のなかに備わった
気質だと思います。千利休も琳派の面々も然り。
「心線」「線芸術」として書道の世界を打ち破っています。
美術評論家の針生一郎は「人間の表現ではなく、物質に表現をさせる」
「人間と物質との主客の関係の転倒=アンフォルメル」
「1970年〜の反芸術、ニヒリズムに至る」
そんなふうに記しています。
彫刻作家の向井良吉が社長だったこともあり、会社には多くの芸術家が集まって、
芸術的気風が高まります。のちに決起された「火の芸術の会」は、日本美術を
牽引する代表的作家で構成されていました。
そのメンバーの一人である岡本太郎。さすが時代の先を見据えた偉大な人物でした！
近代日常生活と、芸術を橋渡しするような実験を繰り返し、遅れをとってはならぬ
という必死のデザイン感覚に一石を投じています。
会期は間もなく終了ですが、今の美術界とはまた違った
「ジッとしてられん！」というパワーを感じる展覧会です。
「野村耕 若冲の鶏におけるヴァリエーション 1977」
紹介してもらうのが楽しみ。
「高麗橋 桜花」オフィス街にある敷居の高そうな日本料理のお店ですが、
ランチタイムは定食¥1000
美味しそうで、写真撮る前に思わず鯛を一切れ口にしてしまいましたが（笑）
この質で¥1000とは、京都ではあり得ない。。というか、最近特に京都高すぎ！
特別展ですが、館蔵品の選りすぐりの水滴だけで126点も出品できるという
この美術館のコレクションの深さに、改めて感心します。
パンフレットを読むと、1988年に水滴展を開催して以来、じつに30年ぶりの
水滴の優品が揃う貴重な機会。と書いてあります。
これは観ておかねば！
小ちゃな掌に収まるサイズから、頭枕か、花瓶か？と見紛うほどのモノも
あります。カタチも虎や牛やらの動物、桃などの果実、家形などと
幅広い作風と技巧。
水滴の概念が変わる展覧会。朝鮮時代(1392〜1910年)は、お洒落でビックリ。
この時代は、儒教思想で文人や高官が学問に励み書画を楽しんだ時代。
舎廊房(サランバン)と呼ばれる書斎がサロンであったようです。
部屋に飾るインテリの文房具の一つが水滴だったのですね。優雅です。
併設された東洋の陶磁器の数々。。
他の展示品も素晴らしく、此処へ来ると時を忘れます。
焼物が好きな外国人観光客の方にも、いつもオススメするのです。
因みに水滴は英語で「water droppers」
なかなかこのカタチからは、書道に使う道具であるとは！
想像つかないと思いますね〜〜。
「大人の世界に遊ぶ水滴展」
オススメです。
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by mottainai-amata
| 2016-09-07 20:32
| 観てみよう展覧会
|
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