

昨日、今日と寒さが戻ってきましたが、暖かかった先週の勢いで、
左京区岡崎から南禅寺あたりの枝垂れ桜が咲いています。
えぇ?まだキが早んじゃないの??
うかうかしてられません。すっかり自然界は春になっています。

観光地永観堂と南禅寺に挟まれた場所とは思えない裏道を通り、
カモが散歩する閑静な住宅街。今朝の京都新聞に<南禅寺・岡崎界隈邸宅群
「京都の秘境」生きた継承を>というタイムリーな記事が掲載されていました。
ほとんどが民間所有のため一般公開されていない邸宅群は、かつての政財界の
有力者たちが贅をつくして作りあげてきた貴重な文化財ともいえます。
しかし近年の様々な事情では、継承するのも維持するのも困難になってきています。
そんな豪邸ばかりをチラチラと覗き見ながら、想像力たくましく建物探訪していると、
野村証券や旧大和銀行などの創業者野村徳七の収集品を基礎に展示公開する
美術館です。徳七は茶人でもあり大変な文化人でした。
邸宅内で選りすぐりのコレクションを私設美術館として公開されているのは、
貴重なことだと思いますし、京都らしいなぁとも思います。

本日はこの『高麗茶碗』展 前期を楽しみに来ました。
これから先は観光シーズン。私もゆっくり観られるのは今日ぐらい。
野村美術館の収蔵品の高麗茶碗、さすがさすが名品揃いです。
数ある茶碗のなかから、独自の調査研究の結果に基づく生産時期の分類を、
初期(16世紀ころまで)・中期(16世紀後半〜17世紀前半)・後期(17世紀後半)
に整理して、高麗茶碗の変遷がわかるように展示されていました。
興味深い分類に、展示替えされる後期も必見ですねーー。
野村美術館では、靴を脱いでスリッパに履き変えて観覧する日本家屋式です。
展示ケースのテーブルの高さが低めに設定されていて、ガラスケースの前に
木製のバーが備え付けられていますので、バーに手を載せて茶碗を真横から
かぶりつきで観られます。
本当に、絵も云われん美しく使い込まれた景色をあっちから観て、
こっちから観て、ただただウットリ。
動物園で夜行性動物の生態を、ジッと手を掛けて見ている子供のようなもんです。
一部畳に上がって観られるケースがあります。ここではお茶の室礼の空間で
飾ってある「茶席飾」と、品のある季節に合わせた日本画の掛け軸が4幅、
その前に「御本茶碗」と「伊羅保肩身替茶碗」を3点づつ比較検証できるように
並べられていました。どちらの茶碗も3点は同じ部類に分けられるが、果たして
時代も生産地も同じくして作られたか定かではないようです。
でもよく雰囲気が似ています。畳に這いつくばって長いこと眺めていました。
大らかで粗雑なように見えるけれど、品のあるこの佇まいは何々でしょう。
茶碗は「なり、ころ、ようす」で鑑賞するモノだそうです。
まだまだです。
日本の対馬藩が朝鮮王朝と交渉して釜山に開いた藩の出張所「倭館」
1644年〜江戸幕府崩壊まで存続したようですが、この敷地内に築かれた連房式の
本格的な窯で大量の焼物を1720年ころまで生産し、日本に輸出していたことが
調査でわかっています。実物を観て、また初級から勉強せねば。と
野村美術館館長 谷晃(たにあきら)さんの著書を購入しました。(淡交社2014出版)
金海窯についての記述もあって、読む前から興味深いです。
「本書で高麗茶碗の分類をつかみ、美術館や茶席で鑑賞。
本を開いておさらいーー
こうしたことを繰り返すうちに、きっとあなたは〝高麗茶碗の達人〟
になれるはずです。」(本見開きより)
なれるかなっ??

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