2014年 10月 13日
八瀬の奇祭「赦免地踊り」 |
出町柳駅から真っ暗な道を京都バスで揺られて25分。
比叡山山麓の裾野「かまぶろ」で有名な八瀬の里。
旧くは鯖街道から大陸の文化や海の幸が都に運ばれる、
山里ながら都との深い関わりを持つ地域です。
昭和58年に京都市無形民俗文化財に指定された「赦免地踊り」
HPでもきっちり紹介して、保存会の方々が尽力されてます。
他府県へ彼方此方参りますが、このようなたゆまぬ努力は並々ならぬもの。
和蝋燭を用いた灯りは、長時間燃え、焔の揺らめきが穏やか。
なんともやわらかいです。
2〜3ヶ月かけて作られます。昔は宿元で作っていたそうですが、
今は文化保存会の彫刻部が担当。
一軒の宿元に2基づつおんなじ灯籠。合計8基の灯籠が
祭りで使われます。毎年2基づつ新調されるそう。
切子の絵のモチーフは、吉祥模様や武者や花鳥など。。
八瀬の小学校では、切り絵の授業があり、そこで興味を持った子が
彫刻部の後継者となっていくように促しているそうです。
着物で女装して、頭に灯りの点った灯籠を頭に載せます。
脇には警固と呼ばれる二十歳の紋付の男子が、補助役として
ついて歩きます。切子灯籠は高さ70cm、重さ約5kg。
昨日は台風が近づいてきていたので、風が時折強く、
重労働だったことでしょう。
音頭取りの年輩の方が、「気をつけろー、大丈夫かー」と
何度も声掛けされてました。
村内をぐるり巡って、他の三軒の宿元からの灯篭と合流するのでした。
来たこともない土地での、真っ暗な地理感のないそぞろ歩き。
全くの偶然ですが、なかなか愉しい経験でした。
「休憩とるかー?間隔開けろー。」「頑張ってねー。」様々な声が掛かり、
灯籠着の一日女子は、しずしずと歩きにくそうに
顔を上げることも、声を上げることもできません。
可愛らしい踊り子さんも提灯片手に現れました。
門口(村の中心地)で灯籠8基、踊り子、音頭取りと呼ばれる
伊勢音頭を取りながら、太鼓と地謡で集まる8名くらいの囃子方が
集まったことを祭りの頭が確認し、行列は地主神社「八瀬天満宮」へ。
遠くから“トーン、トーン”という太鼓の音、音頭取り衆の
なんというのでしょう、漁師歌のような哀愁漂う歌声が聞こえ、
山里の暗闇に切り子灯籠の仄かな灯り…
名前が由来の「秋元神社」
静かで幽玄な世界が広がります。八瀬のハレの世界は静かな世界。
口伝の謡は、派手でも地味でもなくしみじみと流れていきます。
過去の日本の里山にタイムスリップしたような、
まるで、自分がクロサワ映画に出演しているかのような心地。
by mottainai-amata
| 2014-10-13 17:15
| 街に美を漁る会
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