2014年 06月 04日
天草創磁 江浦久志さんの焼物人生 |
DMをたよりに京阪神から、ご近所から、海外の観光客から、
陶芸を学ぶ若者から、伝統工芸の作家からーー
幅広い方々にご覧頂いております。
全ての方に気さくに親切に、ご自身の陶磁器にかけてこられた
熱い人生を語られる江浦さん。
執筆されたばかりの江浦さんのお知り合い前崎さんがみえました。
2~3年前、天草陶石の調査のため現地へ赴き、江浦さんに
協力してもらわはったそうです。
「あの時は、風邪で最悪の体調だったんだよ。。」
それでも、様々な調査に有益な情報を紹介してくださったり、
仕事場を説明してあげられたそうです。
「お陰様で、やっと本ができました。有難うございました。」
「松林鶴之助さんには、こちらも多大な影響を受けましたからね。
こんな立派な本に紹介して頂けたら、私も嬉しいですよ。」
京都朝日焼陶工 松林鶴之助氏は、セントアイブスでバーナード・リーチの窯を
設計した、当時の多くの民藝作家にも影響を与えた人物。
先日の懇親会でも、〆のお薄を一服戴き、焼物談議に花咲きました。
江浦さんの陶歴をば。
1955年 熊本県 天草生まれ
1976年 佐賀県伊万里にて 故 澤田犉氏に師事
その後の作陶活動に多大なる影響を受ける
1978年 福岡県小石原焼にて陶器を学ぶ
自らの作陶において「磁器と陶器」の模索
1980年 佐賀県 有田に移る
故 久保英雄氏開窯の「肥前創磁 大日窯」にて、
故 子息 徹氏のもと、染付・上絵を学ぶ
1983年 郷里天草に戻り、地元の陶石採掘販売の会社に入社
磁器原土の「天草陶石」を学ぶ
有田「大日窯」の久保氏蒐集の初期伊万里陶片に感銘を受け、
天草における「近世陶磁器」研究をライフワークにしながら、
1988年 「天草創磁 久窯」開窯
2013年 東京銀座ギャラリー和田で個展
ずっと、焼物 技術・釉薬・陶石・陶土に携わってこられましたが、
九州以外の個展は、この度の弊店の京都が2度目。
このキャリアの持ち主で、全く信じられないことです。
1970年代、民藝ブームもやや下降線の小石原で、修行に入られた機会は
リュック一つでふらふら窯元を見ていたら、
「お前、焼物したいんか?」
「ハイ。」
「なら、明日からうちへ来いや。空いちょうよ。」
「い、いちど天草帰って家に話して、戻ってきてもえぇですか?」
あれあれ。。と窯元の見習いに入ることになったそうです。
真面目な江浦さんは、「民陶祭」でお客さんに値段を安く叩かれて、
「一生懸命作ってるものを、そんな安くできません!」
と、親方の前で反撃したり、全国から修行に来る民藝信仰の陶工達と
折り合わず、集わず、靡かず。。。一匹狼で通し。。。
しかし、轆轤の、特に蹴轆轤の勉強と、登窯の経験は貴重だったと
言われます。
その後の有田の修行は、まさに住み込みの職人だったそうで。
明けても暮れても、轆轤引き。この頃の有田は、完璧な分業制。
土揉み・轆轤引き・水拭き・線出し・濃(ダミ)手・赤絵手・窯焚き……
全行程に、日がな一日同じことを繰り返して従事する職人がいた時代。
その代わり、完璧なプロ集団の集まり。
なんと、「ワタリ」と呼ばれる渡り職人もいたそうです。
コノ窯にて仕事しては、つぎにアノ窯……
定住せずジプシーのように流れ、職場をワタル身体資本の職人が
まだ必要とされた時代なのでした。
しかし、そんな機械的な日々のノルマをこなす仕事に疑問を感じた
江浦さん。
親方に「わしらしちょぉ仕事は、焼もんですか?」
親方の返事は「いや、焼きもんやなか。」




by mottainai-amata
| 2014-06-04 19:36
| 天草創磁 久窯/江浦久志
|
Comments(2)
先日はお世話になりました。
作品を拝見しての感想ですが、酒盃などの小品が秀逸でした。とりわけ鉄釉で柳の木を描いた酒盃は、これまで見たことの無い筆致で感嘆してしまいました。成型のすばらしさにも「うーむ!」です。ある陶芸家(女性です)にこれを見せたら、「いいわね~」と言っていました。つい、あげませんよ、と言ってしまったものです。
古伊万里風のそば猪口や「くらわんか」風のご飯茶碗も普段使いにはよいかもしれませんね。三十年前は、本物が骨董品の店で手ごろな価格で手に入ったものですが、今では結構な値段になっているみたいで驚いています。唐草模様のそば猪口や小鉢を幾つか持っていましたが、訪ねてきた友人が持って帰ってしまったりして、今では唯一個きりになってしまいました。若いころは、そのそば猪口でコーヒーを飲んだり、ビールを飲むのに使っていましたが、最近は眺めているばかりです。三十年以上、ずっとわたしを見ていてくれたのに、何故か使う気になれないのです・・・寂しい思いをさせているのかな、と思っているのですが・・・
あっ、そのうちまたいきますからね~
作品を拝見しての感想ですが、酒盃などの小品が秀逸でした。とりわけ鉄釉で柳の木を描いた酒盃は、これまで見たことの無い筆致で感嘆してしまいました。成型のすばらしさにも「うーむ!」です。ある陶芸家(女性です)にこれを見せたら、「いいわね~」と言っていました。つい、あげませんよ、と言ってしまったものです。
古伊万里風のそば猪口や「くらわんか」風のご飯茶碗も普段使いにはよいかもしれませんね。三十年前は、本物が骨董品の店で手ごろな価格で手に入ったものですが、今では結構な値段になっているみたいで驚いています。唐草模様のそば猪口や小鉢を幾つか持っていましたが、訪ねてきた友人が持って帰ってしまったりして、今では唯一個きりになってしまいました。若いころは、そのそば猪口でコーヒーを飲んだり、ビールを飲むのに使っていましたが、最近は眺めているばかりです。三十年以上、ずっとわたしを見ていてくれたのに、何故か使う気になれないのです・・・寂しい思いをさせているのかな、と思っているのですが・・・
あっ、そのうちまたいきますからね~
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かめじろうさん
こちらこそ有難うございました。
貴重なご意見、何よりです。有難く拝見致しました。
仰る通り、柳に月紋のシリーズは最も好評です。
京都東山区にて、あのシリーズがお目に留まるというところに、
流石やなぁというか、心底怖いなぁと思います。
多分、東京の評価とは違うでしょう。。。
骨董品も高くなりました。私は、江浦さんの手仕事を自分の手で骨董になさったら、気持ち良く育てて頂けるのではなかろうか?と思います。お求めやすい価格ですし。
かめじろうさんの古伊万里風の、唯一無二の骨董品。。
次々と新しいライバルが多くて、嫉妬してるのではないですか?
たまには、美味しいもんいれてあげてくださいよ。
また、輝きを増しますよ。。。
またのご来店を心待ちにしております。
こちらこそ有難うございました。
貴重なご意見、何よりです。有難く拝見致しました。
仰る通り、柳に月紋のシリーズは最も好評です。
京都東山区にて、あのシリーズがお目に留まるというところに、
流石やなぁというか、心底怖いなぁと思います。
多分、東京の評価とは違うでしょう。。。
骨董品も高くなりました。私は、江浦さんの手仕事を自分の手で骨董になさったら、気持ち良く育てて頂けるのではなかろうか?と思います。お求めやすい価格ですし。
かめじろうさんの古伊万里風の、唯一無二の骨董品。。
次々と新しいライバルが多くて、嫉妬してるのではないですか?
たまには、美味しいもんいれてあげてくださいよ。
また、輝きを増しますよ。。。
またのご来店を心待ちにしております。



















