木俣薫さんの木幡窯 探訪 |

工房は、兵庫県朝来市にあります。
京都駅からJR山陰線に乗り、福知山駅で乗り換え。
のんびりワンマンディーゼル車、北丹後鉄道です。
平日の朝、列車の乗客のほとんどはもちろん、
いざ湯かん!城崎温泉を目指すじーちゃん、ばーちゃん。
私も着いてゆきたいですが、和田山駅で降り立ちました。
そこから木俣さんの車で工房へ。。
道中の話題は、『朝来市の町おこし』
ただいま話題の「日本のマチュピチュ=竹田城址」
ベストスポットHP
土日ともなると、道路が渋滞、駐車場が不足して慌てて増床中。
元々温泉はあっても特別な観光地でもない、静かな田舎町。
突然脚光を浴びてしまって、お役所も対応に困ってしまいました。
朝来の町おこし部隊を編成するべく、県外からの職員を緊急大募集しています。
その噂の竹田城址は、あまりの観光客の多さに地盤が荒らされて只今修復工事中。
立ち入り禁止です。本末転倒なおはなし。
「あの山の上に見えるのが、竹田城。休みの日は下からでも
人がウジャウジャ見える。」
スゴイですね。ブームって。
途中立ち寄ったスーパーにて。

「美味しそうなねぎですね〜!」
朝来市特産の「岩津ねぎ」
下仁田ネギ・博多万能ねぎとともに日本三大葱の一つらしいです。
青いところから白いところまで、丸々すべて全部美味しく食べられる、
京都九条ねぎを交配して作られた品種だそうです。
朝来市(上岩津の元津地区)でしか作れないのだとか。
料理家の故土井勝が、「鍋に適する日本一の葱」と奨めたとか。
そこまで言われたら「お土産に買って帰ります。」でしょう?
「じゃぁ、もっときれいなねぎを買える道の駅、連れて行ったげよ。
この頃は、昼過ぎには売り切れる人気だからね。」
食いしん坊のため、まずはねぎを求めて三千里。


こんにちはー。
木俣さんの工房は、大正時代の民家と裏山一帯にあります。
自ら築窯された登り窯です。


今日は窯詰めの日。私が来た時は、三の間がだいぶ詰まってきてました。


釉薬掛けの最中、ご近所の男性が覗きに来られました。
「焼くと、どんな色になるんかの?」
「上の灰色が白くなって、下の赤いのが黒になります。」
「ほぉ〜〜〜」

こちらはいわゆる「朝鮮唐津釉」です。


釉薬を掛け終わった作品を窯の中に隙間なく、
ビッシリと埋めていかねばなりません。
高さや面積を計算しながら、パズルのようです。
その計算には、焔や煙の流れも想定しなくてはなりません。
横で見ていると緊張感で、気安く声を掛けるのを憚られて。。
せっかく来ましたから、何かお手伝いを!


ハマ(作品の下にひくお皿)を作りました。
ハマは窯の中作品にかかった釉薬が流れても、ハマ中で収まり他の作品に
影響を与えず、棚板(作品を載せる板)を直接汚しません。
打ち粉代わりの砂でくっつかないようした煉瓦の上に、丸めた土を載せて
木べらで叩き、丸く皿にします。
ペッタンペッタン。。。砧打ちのよう。
クルクル、ペッタン、クルクル、ペッタン。。。
乗ってきましたよ!
「もう十分や。調子に乗ってたら明日右手上がらへんで。」

うっかり ハマ職人になるところや。

今度は、作品の高台に3〜5点の足を付ける 目打ち。
出来たものを窯の中にいはる木俣さんに渡す作業。
唐津焼は高台の下までほとんど隠れるぐらい釉薬を掛けず、
高台の生地の色も見所とします。
目打ちした場所も後から形になって残るものですから、
丁寧に、ぽろんと取れないように、正確な場所に大きすぎず、
確実に早くする作業を求められます。


こちらは「とってみ」
釉薬のテストピース。唐津焼の産地ではこのバケツみたいな形で、
とってみ と言うそうです。
初め見た時、爪楊枝たてかと。。(笑)
把手を見るからか、取って見るからか???

こんな風に構築されていきます。
良い作品が上がるか否か、この置き場所にかかっています。
自然の中で、鳥の声、お寺の鐘の音…
暮れてゆく刻
淡々とこなされる手仕事の半日
普段の自分が、如何にバタバタと雑な仕事をしているか
わかった気がしました。
久しぶりに土に触れる刻。自然との刻。
とても新鮮で、だんだん自然界の
色や匂いに慣れて馴染んでゆく自分がいます。
木俣さんの素晴らしい作品が上がりますように。
こればかりは、窯の焔の神様のご判断。
どんなに計算し尽くしても、人間の力には及ばない。
最後は自然の他力によるもの。
そこが魅力なのでしょう。
ここから、三日三晩の窯焚き
作品を生む苦労がすこーし見えた気がして
有意義な刻を過ごさせて頂き
後ろ髪引かれる窯詰め終盤戦
ディーゼル車に揺られながらロマンスシートの相棒は
岩津ねぎの束

木俣さんが2月19日〜25日まで、大阪梅田阪急百貨店9階で
若手三人展に出品されます。 ぜひご高覧くださいませ。

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