日本絵画の里帰り |
毎年のこととはいえ、交通渋滞でたいへんなのですが、
今日は比較的静かです。昨日と違って良いお天気。
鴨川沿いの菜の花が満開で、香っています。
只今大阪と京都で、日本画の大きな特別展が開催されて
います。連休中は混み合うと思うのですが、いつしか
お見逃しなく。できましたら、両者比較してご覧頂きたい
展覧会です。

大阪市立美術館で開催されています
「ボストン美術館 日本美術の至宝」展(〜6月16日迄)
<海を渡ったまぼろしの国宝、至上最大の里帰り!>
昨今の展覧会キャッチコピーは、ひねりがあります。

国立、市立の博物館・美術館も広告媒体に意気込みを感じます。
会場の舗設の工夫もしかり。
展覧会目玉作品のひとつ、「曽我蕭白 雲龍図」の前で
老若男女が記念撮影。すぐさまfacebookやツイッターで、
リアルなコマーシャルをしてもらえます。
ミュージアムショップの充実感。
こちらもますますスゴくなってきました。各種メーカーとの
タイアップで、お菓子、カバン、Tシャツ、風呂敷、文具、傘
・・・デパートのようです。なんでもあります。
大きな美術特別展が、テーマパークに行く感覚で、
アートイベント化してまいりました。

天王寺の大阪市立美術館、取り壊して新設する案が浮上。
こんなに大理石をふんだんに使った贅沢な造り。
とても現代ではできません!もったいない!
展示作品は“東洋美術の殿堂”とよばれるボストン美術館
のコレクションだけに、さすが!
アーネスト・フェノロサ、ウィリアム・スタージス・ビゲロー、
岡倉天心に始まる海外にある日本美術の収集では、規模、質
ともにハイレベル。
<第一章 仏のかたち、神のすがた>にて展示されていた、
平安時代の仏画も、修復・保存のありかたが素晴らしく、
見事な衣紋の截金細工まで確認できます。
どの絵も、精緻な筆の表現が見事でした。描かれた時代の
人々の念が、このようなかたちで表現されるのでしょう。
江戸時代の絵画、狩野永徳〜山雪、長谷川等伯、伊藤若冲、
そして<第5章 奇才曽我蕭白>の部屋は、圧倒的存在感。
<まぼろしの国宝、ニッポンに帰る。>
戦火を免れ、大事に保管されてきた作品は運が良かったかも
しれませんね。


こちらは京都国立博物館で開催中
「狩野山楽・山雪」(5月12日迄)
<京都の マ 狩野派は マ 濃い>
<注目の里帰り作品 展覧会がもたらす奇跡 50年ぶりに再会する襖絵>
これは、明らかに<間=マ>のむこうに浪花のボストンを見据えています。


秀吉に見いだされ、永徳の画風を最も強く受け継いだ弟子と
いわれる狩野山楽。義父である山楽に学び、京都でひたすら
自己の画風を探究した山雪。
桃山から江戸への過渡期。どの権力者につき、従うかで大きく
人生が変わってしまう波乱の時代に生きた二代の絵師を
とりあげた展覧会。
重要文化財13件、新発見9件、初公開6件を含む83件が揃う
京博の意気込みを感じる名物日本画特別展。
狩野探幽率いる江戸狩野との違いを求められた、京狩野。
巧みな画法と独自の世界。特に山雪の造形は、後世の曽我蕭白、
伊藤若冲にも影響を与えたといわれます。
確かに山雪の絵画、これだけ一同に並ぶと、4〜5人の人物が
描いたんじゃないの?と思えるほど作風が、筆のタッチまでも
が違うのです。特異稀なる巧みな画家だったのですね。
<第8章 極みの山雪ワールド>
この部屋の作品大小さまざま6点、これだけを観ただけで、
器用な画家だったのだと感じられます。一番描きたかったのは、
どんな絵だったのでしょう?
私、個人的には「蝦蟇・鉄拐 寒山拾得図」がお好きそうな
気がしましたケド。いかがでしょう?
これだけの仕事がこなせる器用さがないと、この時代の京の都
では、生き(勝ち)残れなかったのかもしれません。
まるで、京(清水)焼のごとし。

ボストンに渡った外国人の眼で選ばれた日本画の好みも、
たいへん興味深く感じました。
ぜひ、どちらの里帰りも足をお運びください。

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どうしても色は失われる。今見ているものは創作当時のものではない。
平等院鳳凰堂の荘厳、法隆寺百済観音、いろいろなものがそうですよね。
ただ、美学者寺尾勇の「滅びの美」を高校生のころに読んでしまった私は、創作の最初の美もいいし、年を経てやがて滅びていくその姿もいいと思うのですよ。
五月初旬京都に行きますが、今度は団体旅行(5人ですが)、久木朋子さんの多色摺り木版画見たいんだけど、行けるかどうか、去年はそのころ京都に行けなかったし、今年こそという思いは強いのですが… さて。

お久しぶりです。やはり春の京都にはお出ましになる
のですね〜。ツアコンなさるようですから、ご来店は
まゝならぬかもしれませんが、もしご都合よろしければ
お立ち寄り下さいませ。お待ち申します。
ボストン〜の光琳は、よかったですね。
堂本印象の晩年の作品のようなモダンさを、
私は感じました。構図も素晴らしかったです。
「滅びの美」は、学生時代に読みました。
京都や奈良という土地柄、古物を観られる機会が
多いので「古いモノはいいモノ。」という価値判断が
求められやすいのですが、新しいモノがあってこその
古物のよさ。
偏らない確かな眼を養いたいと思います。
先日は遠いところ、自転車でお越し頂きまして
誠に有り難うございました。
小石原焼をブログにご紹介されてましたね。
最近は、九州の民陶を扱うお店が増えて来ました。
多くの方に、手にとって頂くチャンスが増えるのは
良い流れだと思います。
連休中に「小鹿田焼 陶器まつり」が開催されます。
また今年も賑わうことでしょう。
窯元さんより、京都の窓口をさせて頂いてます。
またお気軽にどうぞお越しください。