『近代洋画の開拓者 高橋由一』展 |
大気が冷えてきて、朝晩の気温が下がり露ができ始める頃。
といいますが・・まだ残暑厳しいです・・
でも「白露」という言葉は、とってもきれいですね。

今日から開催される岡崎の京都国立近代美術館での
『近代洋画の開拓者 高橋由一』展<〜10月21日(日)まで>
レセプションパーティーに行って参りました。
真っ黒な空、雷がゴロゴロしている中、美術館へ。

(右端の着物の女性は、市田ひろみさんです。)
そうして到着してすぐに大雨。最近このパターンで
局地的にバケツをひっくり返したような雨が降ります。

(読売新聞の案内記事↑)
高橋由一(ゆいち 1828〜94)といえば、リアルな
筆致で描かれた荒巻き鮭の「鮭」「花魁」で有名です。
これら「重要文化財」指定の絵は、教科書にも載っています。
明治維新後の40代に西洋画家を目指します。
「洋画を日本に普及するのが、自分の果たす使命だ」という
強い自負で探求された洋画は、留学経験もなく本場の西洋画を
知らずに写実画に挑戦した高橋独自の「和製油画」を確立しました。
時代は折しも、江戸から明治に大きく変わってゆく中。
高橋由一の人生とすっぽり重なります。
展示会では人物画や静物画の他、晩年に活路を求めた東北地方の
風景画なども含めた約120点が観られます。

図録の表紙「花魁(1872年)」のモデルは当時の美人
名妓小稲とされる。
完成作を見て「私はこんなんじゃありません!」と言って、
泣いて怒ったそうです。

<日本一有名な鮭>というキャッチコピーがうまいですよね。

今回の図録は、実物大「鮭」ピンナップ付きですよ。
年末年始のインテリアにいいかも?
「鮭」の絵は数点描かれているのですが、ナゼ鮭なのか?
ナゼ同種の絵が数多く残るのか?いろいろと謎が多いのです。
実物は意外と大きいんですよ。
そして高橋由一のリアリズムは近くで見ると、筆致が大まかな
ところもあり、現代絵画の写真のようなリアリズムとは違うこと
がわかります。質感を追い求めただけではないのでしょう。
展示会中の4階常設展では


「東の由一・西の宗立」といわれた京都洋画界の先覚者
田村宗立(そうりゅう 1846〜1918)の企画展を開催。
丹波生まれの田村が、南画を学び僧侶となったあと、仏画を
研究しドイツ人に油画を学び、自己の作風を確立する経緯を
展示しています。高橋由一とは18歳の年齢差がありますが、
京都が近代都市として変わっていく時代と田村宗立の人生が
重なり合っている点でも、両者には変化に富んだ時代に
生きたという共通項があります。
展示会案内チラシですが、広げると代表作「洋童図(1890)」
ピンナップに。裏は瓦版のような仕上がりになってます。
<東VS西>の意識が、京都国立近代美術館の常設展示に
現れているような気がしたのは、私だけでしょうか?
「鮭」に対する見事な「鯉」の絵の展示は、竹内栖鳳、
徳岡神泉といった横綱級の日本画作家の作品で固められてました。
ここのところ、キュレーターの方々の本音を聞いてみたいですね。


サーモンがメインのオードブルにも・・むむ・・
ぜひ皆さま、実物をご覧になってくださいませ。
関西での高橋由一回顧展は、30年ぶりだそうです。

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