水渡嘉昭 写真展 『Sam』 |
ある京都在住の写真家のインタビュー、仕事の紹介。
ずいぶん前のこと。記憶のカケラになっていた。
ところが2週間ほど前、その写真家の個展を京都のギャラリーで
開催するという記事を目にした。
初めて聞くギャラリーの名前。でも場所は河原町五条〜四条界隈。
近くである。ぜひ見てみたい。そう思ったのに未だ場所を
確認もせず、記事はどこへやっただろう。もう終わったかも?
今日とつぜん、電話で打ち合わせするつもりの陶芸作家
東好美さんが店にわざわざ足を運んでくださった。
9月19日からの彼女の個展のDMも見せてもらった。
弊店は10月9日から10月23日まで。その前に京都で個展を
するという。大忙しである。
『Gallary Main』 あれ?この名前・・・
「東さん、このギャラリーでN.Y.の同居人のお爺さんの写真展
してない?」
「あ〜〜、スイトさん。すっごいよかったよ。ご本人とも話し
したよ。」
聞けば、明日が最終日!! なにかの縁なのでしょう。
閉店後、伺いました。
水渡嘉昭
写真展『Sam』
縁といえば、ギャラリーと東さんの関係も深くて。
写真家である東さんのご主人が、今年の2月4人の仲間と共同経営で
OPENしたギャラリーだったのです。
ちょっとわかりみくいかも?クリーニング屋さんと焼き鳥屋さんの
間の階段を上ります。
写真展『Sam』は、水渡さんがN.Y.在住のころ、国籍も
世代も違う全くの赤の他人であるSam爺さんと共同生活をして
いた2年間のドキュメンタリーともいえる記録写真。
「お前はラックを信じるか?」
と、毎日利用する駅の決まったベンチに座るお爺さんに
声を掛けられ、「好きな数字を3つ言って見ろ。」と。
言われるがまゝ答えた数字。一ヶ月後お爺さんは、嬉しそうな顔で
「やっと当たった」 一緒に連れて行かれた宝くじ売り場で
換金した20ドル二枚のうち一枚を渡された。そこから44歳離れた
日本人学生との絆が芽生えたようです。
N.Y.に身よりのない彼を看取ったのは、彼の友人と水渡さん。
マルタ島からアメリカに憧れて飛び出したSamさんが、船上での生活を
経て不法就労25年の末、恩赦で勝ち取った永住権。
九匹の猫との生活。破産覚悟のCardで購入したレコードの山。
人生を写す刻まれた皴。
写真はモノクロームで淡々と個対個の“いま”を写してありました。
欲を言えば、もう少し大きな画面で見たかった。
彼とSam爺さんが、対峙する空気をもっと感じられるのに。
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