本当にお言葉に甘えて、地元で有名人のHさんに真野の町をご案内頂きました。
日本酒・食べること・歴史がお好きなHさん。
心強いガイドさんとお知り合いになれたのは、運がいい!
真野は、S字のくびれ。西側の真野湾を囲む町
先づは、地酒の蔵巡りから。。。
佐渡は米処。知る人ぞ知る酒処。酒造りは「真野」から始まる。といいます。
遠浅の海だった真野一帯の地下に貝殻層が堆積し、そこから濾過された水は
軟水に比べやや野性味。中軟水の水質は、灘の宮水に近いのだそうです。
その地下の湧き水で造る真野の日本酒。
地元の酒米「越淡麗」
淡麗辛口の純米酒が人気。島内には6軒の酒造所があり、5軒が日本酒造り。
Hさんがご贔屓になさってるうちの、3軒も連れて行って頂きました。
初対面明けのたった一日のツアーで、こりゃすごい確率です。(笑)
大きな会社で、どんどん観光バスで見学者が立ち寄っていきます。
私達が来た時は、ゆっくり製造過程のビデオなど見られたのですが。。
このあとの、まさに試飲の廊下をベルトコンベアのように流れていくお客さんが
凄まじい。私らも負けじと、流されていく〜〜。 酒粕漬けも旨し。
「真野鶴」の若き杜氏工藤さんが加わってから、新潟県最多6年連続で
全国新酒鑑評会「金賞」受賞。インターナショナルワインチャレンジ金メダル
受賞。エールフランス航空ファーストクラスの機内酒にも使用されています。
一枚目の写真の女性は、曽我ブリンダさん。拉致被害者曽我ひとみさんの
お嬢さんです。案内して頂いてるHさんが地元で有名人なのは、
曽我さんのご主人ジェンキンスさんの通訳のお仕事をされているからなのです。
そんな方と、超ピンポイントの割烹店で知り合うなんてスゴイでしょう!?
町を車で走りながら
「この国道の脇で、拉致されて川でボートに乗せられて沖の船で連れて行かれた
んだよ。報道されていない人が、もっといるんだ。」
「拉致被害者の証言として報道されている内容は、本人の不本意な内容も多々
あるし、プライバシーの侵害もひどい。」
「今じゃ京都では、風化してるだろうけど。」
なんて言われると、浮かれてお酒呑んでる場合ではなく、心痛む事実です。
相川方面1042mの妙見山には、日本海の空域監視をするための
自衛隊レーザーサイトの白い施設が見えるし、滞在中の明後日に控えた
「佐渡国際トライアスロン大会」のコース付近には、北朝鮮と繋がった
部落地帯が見えたりします。
私も佐渡を訪ねるまで、こんなにロシアに近いとも思ってなかったし。
西日本にいると、韓国なんですよね。日本海の向こうは。。。
田んぼの中にいる放鳥のトキが見えるかも?
そんな身近にいる野鳥のような存在に。見守る島民の保護のおかげですね。
「トキはアホだからね、餌付けされると必ずそこに集まってくるのよ。
捕獲されたり、天敵にやられるのよ。森に隠れてたらいいのにね。」
と、笑いながらHさん。
アレ?? 佐渡で「アホ」を聞くとは思ってなくて。
実は、佐渡には全国の方言が寄り集まっているのです。
一時期の金銀山の労働者の流入もあるのでしょうね。
ある地域は「みゃー、みゃー」名古屋弁、
あの辺では「バッテン、バッテン」の九州弁。
方言分布図を作ると、面白い形がみえてくるそうです。
こちら明治初年創業、
逸見酒造佐渡で一番小さな蔵。「真稜」が看板酒。
少し黄色味かかったお酒。純米酒・本醸造の種類が豊富で、日々日常の晩酌に
愛されている地元のお酒なんだろうなー。と。
試飲の中で「山廃純米大吟醸」がありまして、佐渡で山廃仕込みを造るのは
珍しいそうです。越淡麗を50%精白したしっかり重みのある味わい。
ここで、佐渡の焼物「無名異焼」の窯変の名品を鑑賞。
その隣の棚に、佐渡の仙人さんの土人形を見つけました。
では、本業の焼物を求めて。。
地元の土を使って焼いておられる地元のお知り合いの陶芸家 若林善一さん。息子さんの千春さんと共に作陶されています。大きな壺や甕を引いておられるので、びっくりしました。 若林さんこだわり。挽きたての美味しいエスプレッソ式コーヒー。
瓔珞文の器は息子さんの作品。
住宅街から離れているとはいえ、薪の穴窯を焚いておられます。
とても変わった形の窯ですね。
上の土を使った新作のお茶盌を拝見。伊羅保釉のような景色ですね。
佐渡は金銀山の金鉱脈あたりから、大変鉄分の含有量の多い土が採れます。
その「無名異」とよばれる二酸化鉄。それを含んだ赤褐色の土を使った焼物を
「無名異焼」といいます。
若林さんの作品は、独自の作風で無名異とは違うものですが、約15%も縮む
鉄の強い土です。
佐渡の陶芸は、中国の作陶の影響を受けていて、手回しろくろの成形の流れが
あるそうです。西日本は韓国の作陶の影響で、蹴ろくろの流れです。
中国のほうが近いという立地条件もあるでしょうが、江戸・明治と本土から
渡ってきた文化人の煎茶の茶の湯文化の波及からきたのでは?と思います。
佐渡は、山間部を利用したお茶の生産も盛んです。
面白いのは、一般的に出されるのは「ほうじ茶」京都でいう番茶でした。
茶粥を食べる地域もあるそうで、お茶は炒った茶色の茶粥。奈良県のよう。
「アホ」とおんなじで、やっぱり関西食文化も混在しているのでしょうか。
もう一つ特徴的なのは、佐渡に磁器土(石)が出ないこと。
色絵付けする時は、沖縄のやちむんと一緒で白い化粧土をかけて鉄の素地を
隠します。有田焼や清水焼のように磁器の茶器が作れないので、以前訪ねた
三重県四日市の萬古焼の紫泥急須のように焼締陶器が主流なのでしょう。
「相川技能伝承展示館」の前にある無名異焼工房の見学。
職人さんが3人表に向かって見えるように作業されてます。
ほんまに赤い!聞きしに勝る赤い土ですね。周りに赤どべが撒き散ってます。
冬は手の油分が土に取られて、カサカサになって辛そうですねー。
ここの展示棚にも、また佐渡の仙人さんの人形が。
「登り窯の作品は、どうしてこんな赤と黒の色が出るんだろうね。」と、Hさん。
「登り窯の中で、還元かかるからでしょうねー。」
一瞬、職人さん全員の手が止まり、ビーム視線がこちらに集中。
ややこしい客が来た。と思われたでしょうね。(笑)
後から職人さんが、わかりやすく丁寧に解説してくださいました。
最後に、下相川のなだらかな坂の上、見晴らしの良いギャラリーへ。
こちらは人間国宝無名異「五代 伊藤赤水」さんの作品が展示されています。
江戸天保年間に開窯された窯の、歴代赤水作品が見られます。
やっぱり初期の作品は、中国風の透かしや龍などの飾り物の凝った作品が
多かったです。中国陶器の影響というのは、本当ですね。
当代赤水作品「無名異練上」の数々は、新しい無名異の時代を感じさせる
華やかな作風でした。
「佐渡工芸展」が開かれ、若林さんや伊藤赤水さんの作品の他、
ガラスや織物など工芸品が展示されるそうです。
この盛りだくさんの一日は、寺社・遊覧船・グルメ・温泉とまだ続きます。
ガイドブックや地図上では、レンタサイクル、路線バスの案内が書いてありますが、
結構坂や起伏もあるし、佐渡の移動は車が無いときびしい。
この度の旅のナビゲーターをしてくださったHさんに感謝です。
↑クリックして頂くとブログランキングにカウントされます。応援して頂けると嬉しいです。